時代の中で自分らしく生きる~超AI時代の生存戦略~


 

 

 

最高に美味い肉を思い出す。口に入れた瞬間、深い幸福感がこみ上げてくる。絶妙な噛み心地。とろける。口の中で蕩け体内に吸い込まれていく。あまりに感動的で、緩りと味わいたいが、止まらない。最良の読書体験とは、こういう類のものなのかもしれないと感じる。

本書は、落合陽一さんの「魔法の世紀」、「これからの世界をつくる仲間たちへ」に続くもの。

 

 

 

どんな書籍にもおいてもありがちなわけですが、読了後、どんな香ばしい余韻が残っても、アクションに繋がらない、というマジョリティにとっての課題がある。きっと多くの読者は、著者のスタンスにインスパイアされながらも、実際にどのようなところから手を出し始めれば良いか、うまく表現できずにいるだろう。

本書を他の書籍と圧倒的に分け隔てる魅力は、大袈裟で独りよがりの軍師的先導者としての主義主張ではなく、誰よりも著者自身が体現者であり最先端で実践を繰り返しているところにある。それゆえか、書籍ごとに著者の成長の過程も垣間見える。さらに著者が大前提にしているような時代背景も急激に追いつき始めていて非常に面白い局面にあると思う。

例えば、

””「AIはAIとしての仕事を、人間は人間らしいクリエイティブな仕事をすればいい」という論調が僕は嫌いだ。 この論調は思考停止に過ぎず、クリエイティブという言葉であやふやに誤魔化すことで、行動の指針をぼやかす。つまり、この論調で語る人は、要するに「何をしたらいいかわからない」、ということであって、これは多くの企業担当者も同様の発言をしやすい。 ””

急激に変化する世の中においては、著者が言うところの「思考停止」的論調が確かに多い。

 

””ここでいうクリエイティブという言葉が絵を描くこと、言語を綴ることだとしたら、すでにディープラーニングを含む、多くの機械学習手法は様々な絵画技法の生成に寄与している。また企画書を作るようなことだったら、企画のサンプル数が十分にあれば、これもまた近い将来に実現することができるだろう。官公庁の発行する計画のほとんどはバズワードと時流の確認だ。機械はバズワードの組み合わせを作ることやトレンドを分析することに関しては非常に優れている。””

すでに機械は人間よりも人間らしい作品、いわゆるクリエイティビティの高い作業を、淡々とこなし始めているというわけである。

 

””この構図はコンピュータ親和性の高い専門家の能力がさらにクリエイティブになったということができる。つまり、コンピュータ親和性の低いクリエイターの持っているクリエイティビティよりも、コンピュータ親和性の高い人間のもたらすクリエイティビティが大きく成長しているのが現代であり、先ほどの論調を言い換えるなら、AIで自動化できる仕事をその地位に就いている人間から奪い、そこでできた余剰の資本を人機一体によりさらにクリエイティブを加速させ、他のコンピュータ親和性の高い専門家に注入して、より大きな問題を解決していこうとしている。””

このような「真実」から逃げ出さず、「真実」を真摯に受け止め、喫緊に迫り来る新たなパラダイムに備えようと動き始めている人は、どれほどいるだろうか。

””全世界の他のすべての人と比べて「自分らしい」というのと、あるコミュニティの中で「自分らしい」というのを比べると、後者のほうはすぐに実現可能だから、人はコミュニティに逃げ込みやすい。一度枠でくくってしまえば、おのずと特徴が出てくるからだ。つまり、何者かになろうとすることが善であるような考え方に支えられた人間性を持ち続ける必要はない。””

 

””一方で、全世界において自分らしい、オリジナルであるというのはかなり大変なことだ。グローバル社会ではなく、日本の中だけを見ていけばよかった時代であれば1億分の1の自分らしさであればよかったのが、今、全世界70億人の中で自分らしくないといけない。技術は発展するし、個性は無数に存在する。そうなると、日本ではオリジナリティが高いと考えられている文化人や著名人ですら自分らしさを保つことは難しいだろう。世界的セレブリティや実業家に誰しもがなれるわけではなく、グローバルに考えれば、たとえばみのもんた氏はいくつかのギネス記録をもち、「クイズ・ミリオネア」が世界中で放映されていたうちの日本ブランチの司会者を務めていた人、ということになる。””

 

””そう考えると、今の私たちの意識がコミュニティに分かれるのは必然だ。逆に言うと、どこかにコミュニティを作って、そこで自分らしければいいのではないかという「世界を狭める考え方」をすれば、自分らしさが定義できる。つまり、コミュニティを決めるほうが自分らしさを探すことよりも重要なのかもしれない。また、戦略的にはコミュニティを探すのではなく、コミュニティを作る発想が重要であるのは、ブルーオーシャン戦略の基本である。””

 

確かに比較相手を変えていく必要がある。結局のところ人間の幸福は相対的なものであるから、誰とでも比較できるようになった社会のせいで、「自分らしさ」というのも、すなわち「アイデンティティ」というものの在り方が、急激に変容していかざるを得ない。

 

””「相対的な中で自分らしいことを考える」という考え方だと、重要なのは「時代性」の側に常にいることだ。時代はステークホルダー(利害関係者)と技術的世紀によって成り立つ。その時代のテクノロジー水準に、競争で勝てる人間だけが価値を提供できたという結果だ。しかしながら、個人が時代性を意識して自分らしく生きるということは、かなり高度なスキルになる。””

””そのような時代という観点では、世の中のグローバル経営者やトップランナーは時代を読み続けているのであるが、「時代の中で自分らしい」ということを目指せれば、グローバルの自分らしい人間に、そうでなければ、コミュニティ選びのほうが重要になるだろう。その決断に優劣はない。””

 

ちょっと勇気が出て来る。ちょっと希望を感じられる。ただ不勉強な人間を罵倒するでもなく、同時に、とはいえ、多少は考えて生きろよ!と鼓舞してくれる。

 

と、まだまだ紹介したい名言が溢れている。1つの書籍を1度しか紹介してはならない理由なんて無いなんてことを感じさせてくれた本書。何度も繰り返し、考えて触れていきたい。とてつもない速度で、僕達の世界が変化していることは何となく分かっているけれど、、、どう自分が行動していけば良いか、と迷走気味の方にとって、心地よく背中を後押ししてくれる超おすすめ本ですね。

 

 


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