仕事を、職場を、エンタメ化する未来に。〜組織の発達を指向するために、弱さを見せあえる組織を創っていく〜


 
 
 
 
 
AIが進化し、単純労働が減少しながら、より人間らしい仕事が残っていくと言われて久しい。より人間らしい仕事とはなんだろうか?人々が、よりワクワク、仕事が出来る環境とは、どういう状態なのだろうか?
 
1つの未来の形として予見されているのは、会社が、職場が、仕事がエンタメ化されている、というものである。お金が貰えるから働いている、だけではなく、お金も貰えるし面白いから働いている、という価値観が、世界全体に、少しずつ広がっていくということ。
 
すでに、先進的な地域や企業にとっては、当たり前のコンセプトかもしれないが、大多数の人たちにとって、『働くこと=面白いこと』、と同義に捉えている人は少ないだろう。
 
確かに、エリートと呼べるような人たちや、自己成長を習慣化できているような類の人たちにとっては、自ら仕事を選び取って、自分の名前でお金を稼ぎ、どんな環境に身をおいても、仕事を楽しめる自由や、ゆとりを持っているかもしれない。
 
ただ、僕が思うには、そのような能力を持っている人は、マイノリティで、大多数の人たちは、自分に自信を持てなかったり、自分の弱さを見せることに、臆病にならざるを得ないんじゃないか、と。
 
心理的安全なき職場の業績が悪い、社員が仕事に没頭しにくいという研究結果がある通り、安心してチャレンジできる組織や文化がある会社は、持続的成長を実現しやすいなあ、と改めて思ったわけです。
 
加えて、仕事にやりがいを感じるためにも、安心安全とセットで、発達を支援、応援してくれる環境というのが大事で、この緩急があるからこそ、メリハリがあるからこそ、会社や職場が楽しく、面白くなってくるわけですね。
 
考えてみれば、当たり前のことなんですが、あの会社に行けば「成長できる、発達できる」と感じてもらえるような、そういう会社を創っていくことが、これから、もっともっと問われていくと感じました。組織開発・人事領域に携わる方、経営者の方に、おすすめ。
 
 
 
 
“「みんなの成長」とは、会社と地域コミュニティ、そして究極的には世界全体に及ぶ恩恵のことで、「自分の成長」と「他者の成長」を軸に形づくられるものだ。これが実現すれば、社内の全員がいっそう充実した日々を送り、より深い豊かさを経験できる。人は、みずからの成長を感じ、同時にほかの人を助ける活動(同僚の成長を助ける活動もその一つだ) に携わっているとき、真の豊かさを、つまり長く続く幸福感を味わえる
 
「自分らしくありのままでいること」や「人間らしい生活」の大切さが、ここ一〇年くらいで強調されるようになりました。その背景には、変革や革新を求め続ける現代の私たちの生き方が自然の営みとはかけ離れたものになっていないか、そのために本来の自分がもつバランスが崩れてしまっているのではないかという苛立ちや、どこまでも、いつまでも変わることを強いられるかのような過酷なレースが続いていくことへの漠然とした不安があるのかもしれません。
 
 二一世紀に入ってまもなく二〇年が過ぎようとしているいま、私たちはこうした「変わらざるをえない」外的なプレッシャーと、「人間らしく、自分らしく暮らしたい」という内的な衝動、この高まり続ける二つのエネルギーの圧力鍋の中で翻弄されながら生きているのかもしれません。”
 
 
“大半の人が「自分の弱さを隠す」ことに時間とエネルギーを費やしている。まわりの人から見える自分の印象を操作し、なるべく優秀に見せようとする。駆け引きをし、欠点を隠し、不安を隠し、限界を隠す。自分を隠すことにいそしんでいるのだ。”
 
 
社員の人数が、事業の数が 、増えるに連れ、「弱さを見せ合いにくい」構造が生まれてくるということを、嫌というほど痛感した1年でした。
 
もちろん、元から政治的な人(政治的なことが好きな人、政治的なことに強い人)っていうのは、存在しているのだけど、そもそも、『構造』として、縄張り意識を持たざるを得ないような環境を創ってしまっているということに気づいたんですね。
 
いやはや、まだまだ抜本的解決には程遠いのですが、地道に解決していきたいと思っています。
 
 
 
人が仕事で燃え尽き状態に陥る最大の原因は、仕事の負担が重すぎることではない。その要因とは、成長を感じられずに長く働き続けることだ。だから、弱点の克服に取り組もうとせず、弱点を隠そうとする結果、みずからの人としての成長をはばんだり、その足を引っ張ったりすることの弊害は、あまりに大きい。””
 
 
””組織と個人が意識的・継続的に成長することを──そして、組織と個人が互いの成長を支援し合うことを──最重要課題に位置づける文化を築いている。しかも、すべての人が毎日、その活動を最も優先させて取り組んでいる。このような組織文化は、人材開発と企業戦略の設計においてきわめて画期的なものだ。””
 
 
 
””新しい命を産み落とすときに陣痛を経験するように、人が成長し、自分の限界を知って克服するプロセスにも痛みがついて回る場合がある。「ポジティブ」な感情をもてる状態を幸福とみなすのではなく、成長のプロセスを幸福と考えるとすれば当然、幸福を経験するためには、喪失や痛みや苦しみを遠ざけるのではなく、それを味わわなくてはならない。”” 
 
 
 
目次
 
監訳者まえがき
序章 戦略としての組織文化
第1章 ようこそ、「発達指向型組織」へ
第2章 「発達」するとはどういうことか?
第3章 コンセプトの概観――エッジ、ホーム、グルーヴ
第4章 グルーヴ――「全員のための文化」を築くための慣行と訓練
第5章 営利企業を運営できるのか?――狭い意味でのビジネス上の価値
第6章 最大の死角をあぶり出す――DDOで体験すること
第7章 「ホーム」をつくる――DDOへの道を歩みはじめる
エピローグ 職場での人の「あり方」を変える