一生を通じて学び続け、繰り返し自分を作り変えていく。〜ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来〜


 
 
 
ホモサピエンス全史に続く、ユヴァル・ノア・ハラリによる書籍。「人類が二一世紀に何を達成しようと 試みるか」に焦点を絞り、未来を語っている。僕自身、ここ3年ほど、本書に限らず、数多の未来予測関係の書籍をキャッチアップしてきて、改めて、自分の中で、決めていることがある。
 
 
それは『一生を通じて学び続けること、繰り返し自分を作り変えること。』である。
 
 
あまりにも多くのテクノロジーのトレンドが、非連続的な変化を創ろうとしていて、総論で、どういう世界が来るかもしれないと、予想していても、結果的に、自分のキャリアを台無しにされる恐れもあるし、国家が崩壊するかもしれないし、会社が潰れてしまうかもしれない。
 
はたまた、生きること、飯食うことに困らないにせよ、人生100年時代と言わるように、本当に100歳まで死なないとして、本当に幸せに生きていけるだろうか?と憂れうことがあるかもしれない。あまりにも不確実性の高い時代に、自分の人生を愉しみ尽くすとしたら、どういう生き方をしていくべきだろうか?と考え続けてきた。
 
結果、心身ともに出来る限り、健康であり続けながら、一生を通じて、色々なことに挑戦し続けること、すなわち、学び続け、自らを変革し続けることこそが、人生をより豊かに生きていくことなのではないか。まだ読まれていない方は、騙されたと思って、一読しても良いと思います。
 
 
””人類は他に何を目指して努力するのか? 私たちは自らの幸せを嚙みしめ、飢饉と疫病と戦争を寄せつけず、生態学的平衡を守るだけでよしとしていられるのか? 
 
じつはそれが最も賢明な身の処し方なのかもしれないが、人類はそうしそうもない。人間というものは、すでに手にしたものだけで満足することはまずない。何かを成し遂げたときに人間の心が見せる最もありふれた反応は、充足ではなくさらなる渇望だ。
 
人間はつねにより良いもの、大きいもの、美味しいものを探し求める。人類が新たに途方もない力を手に入れ、飢饉と疫病と戦争の脅威がついに取り除かれたとき、私たちはいったいどうしたらいいのか? 科学者や発明家、銀行家、大統領たちは一日中、何をすればいいのか? 詩でも書けというのか?””
 
 
””成功は野心を生む。だから、人類は昨今の素晴らしい業績に背中を押されて、今やさらに大胆な目標を立てようとしている。前例のない水準の繁栄と健康と平和を確保した人類は、過去の記録や現在の価値観を考えると、次に不死と幸福と神性を標的とする可能性が高い。
 
飢餓と疾病と暴力による死を減らすことができたので、今度は老化と死そのものさえ克服することに狙いを定めるだろう。
 
人々を絶望的な苦境から救い出せたので、今度ははっきり幸せにすることを目標とするだろう。そして、人類を残忍な生存競争の次元より上まで引き上げることができたので、今度は人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウス〔訳註 「デウス」は「神」の意〕 に変えることを目指すだろう。””
 
 
””私の予測は、人類が二一世紀に何を達成しようと 試みる かに的を絞っているのであり、何の達成に 成功する かが焦点ではない。
 
私たちの将来の経済や社会や政治は、死を克服する試みによって方向づけられるだろう。だからといって、二一〇〇年には当然、人類が不死になるということではない。  
 
そして、これが最も重要なのだが、第四に、この予測は、予言というよりも現在の選択肢を考察する方便という色合いが濃い。この考察によって私たちの選択が変わり、その結果、予測が外れたなら、考察した甲斐があったというものだ。
 
予測を立てても、それで何一つ変えられないとしたら、どんな意味があるというのか。””
 
 
””能力を強化されていない人間は、遅かれ早かれ完全に無用になると予測する経済学者もいる。シャツの製造などでは、手作業をする労働者はすでにロボットや3Dプリンターに取って代わられつつあるし、ホワイトカラーも非常に知能の高いアルゴリズムに道を譲るだろう。
 
銀行員や旅行業者は、ほんの少し前まで自動化の波に対して安全だと思われたのに、今や絶滅危惧種になった。スマートフォンを使ってアルゴリズムから飛行機のチケットを買えるときに、旅行業者がいったいどれだけ必要だろう?””
 
 
””人間は至福と不死を追い求めることで、じつは自らを神にアップグレードしようとしている。それは、至福と不死が神の特性だからであるばかりではなく、人間は老化と悲惨な状態を克服するためにはまず、自らの生化学的な基盤を神のように制御できるようになる必要があるからでもある。
 
もし私たちが自分の体から死と苦痛を首尾良く追い出す力を得ることがあったなら、その力を使えばおそらく、私たちの体をほとんど意のままに作り変えたり、臓器や情動や知能を無数の形で操作したりできるだろう。
 
ヘラクレスのような体力や、アフロディテのような官能性、アテナのような知恵をお金で買えるし、もしお望みとあれば、ディオニュソスのもののような陶酔も手に入ることだろう。
 
これまでのところ、人間の力の増大は主に、外界の道具のアップグレードに頼ってきた。だが将来は、人の心と体のアップグレード、あるいは、道具との直接の一体化にもっと依存するようになるかもしれない。””
 
 
 
 
【目次】
上巻
第1章 人類が新たに取り組むべきこと
第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する
第2章 人新世
第3章 人間の輝き
第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える
第4章 物語の語り手
第5章 科学と宗教というおかしな夫婦
下巻
第6章 現代の契約
第7章 人間至上主義
第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える
第8章 研究室の時限爆弾
第9章 知能と意識の大いなる分離
第10章 意識の大海
第11章 データ教