探究を愉しみ、賢く学習していく〜Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ〜


 

 
 
2018年は、新たな業界で、新たなタイプの方々と、新たなミッションに没頭、なかなかハードシングスな毎日でした。加えて、2019年6月30日、ニース・アイアンマンに出場することを決め、12月から、本格的にトレーニングを開始。普通にやっていたら完走できそうにないと悟り、コーチをつけて、ランニング、バイク、スイムのスクールに通い始めました。
 
この年齢、立場になると、コーチのような人に注意されたり、指導されるという機会がほとんど無くなって来るので、とても新鮮な体験となりました。しっかりフィードバックを受けて、それを意識して練習を積んでいるうちに、明らかにタイムが上がっていくのです。
 
この素晴らしい経験から、改めて、仕事においても、自分の型みたいなものを見直す良い機会を創ることが出来ました。自分のやり方は間違っているかもしれない、と仮説を立てることで、疑わしいことを見つけ出し、メンバーにフィードバックを求めたり、読書やオンラインで学び直しに励みました。
 
そもそも学び続けることの重要性を痛感している真っ只中でもあったので、割と、すんなりと学習する習慣をつけ直すことが出来たように思います。
 
本書は、学び方を学ぶ書籍となるわけですが、何度も読み、聴き直しました。限られた時間を投資して、トレーニング(学習)するからには、投資対効率をあげたいと切に願い、2019年も、徹底的に成長速度をあげていきたいと思っています。
 
 
そして、何より大きな気付きになったのは、『学ぶこと』そのものは、『探求』そのものであり、それは、食事、睡眠、セックス、愛と同じくDNAに刷り込まれた行動だということ。すなわち、人生をより豊かにするために、生きがいを感じるために、この探究心という欲求を満たすこと、新しいものを発見するということを、追いかけていきたいと思うようになったことですね。
 
僕にとっては、毎日、酒を飲み歩き、アルコールで報酬を得るよりも、日々、肉体的なトレーニングをしたり、知的なトレーニング(読書など)をして、学習意欲、探究心を満たしていく方が、より健全な報酬の手に入れ方であろうと考えるようになりました。
 
 
 
””今振り返ると、どうやら私は学習のしかたがわからなかったらしい。自分の思考をどう扱っていいかがわからなかった。自問したり、目標を設定したりすることができず、そもそも何かを知るということの意味からしてわかっていなかった。学習する能力は自分にはとうてい手の届かないものに思われ、そのために、スクールカウンセラーの評価に書かれていたように「途方に暮れて」いたのだ。””
 
 
大人になった今でも、いや、大人になった今だからこそ、むしろ「学び方」を分かっているのだろうか?自分が、学習方法を正しく理解しているとは到底思えないというのが、本音です。今更ながらですが、良い気付きを得ました。
 
 
””大きく視野を広げれば、データがあふれ、自動運転車まで走るようになったこの時代、私たちは新しい形の専門知識を早くしかも効果的に獲得できなければならない。
 
学習の方法を学ぶことは、専門家が言うところの「究極のサバイバルツール」、つまり、現代において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキルである。
 
なぜなら学習の方法さえ覚えれば、ほとんど何でも学ぶことができるからだ。そして社会には、もっと豊かな教育の形があるべきだ。問題解決という真に重要なスキルを育てるために、情報と知識を活用する教育が。””
 
「学び続ける自分を創る」ということを、2018年に改めて覚悟できていたのですが、本書で書かれているような「学習の方法」を、ちゃんと使いこなせるかどうかで、圧倒的に未来が変わる気がしてきました。
 
 
””つまるところ、学習にはより良い、より効果的な方法が存在している。
 
そして、成功するためにみんなが必要としているスキルを提供するために、私たちにはもっとやらねばならないことがある。
 
現代の世の中でめざすべきは単に頭がいいことでも、たくさんの事実情報を覚えることでもない。それだけではもう不十分なのだ。それよりも、二一世紀のツールをすべて使いこなせる学習の達人をめざそう。
 
本書であなたにその方法を伝えたい。この本が大きな変化のきっかけとなり、新しいスキルを習得する秘められた能力を誰もがフルに生かせるようになることを願っている。””
 
 
何とも嬉しくなってしまうことを書いてくれている。著者さまに、感謝ですね。より効果的な学習方法を身につけることで、過去の自分に囚われず、まだ見ぬ自分と出会える気がしている。
 
 
””探求心は「情動システムの根源」だという。パンクセップによれば、人間の情動は探索への衝動によって動く。感情は探求心のバロメーター的な役割を果たすことが多く、発見に向けた行動がどれだけ成功しているかを教えてくれる、と彼は考えている。  
 
こう考えれば、人はなぜ新しいことに挑戦しているとき幸福感を覚えるのかが説明できるとパンクセップは言う。新規性のあるものを探す体験をすると、快感を与えるドーパミンの分泌レベルが急上昇する。逆もまた言える。
 
鬱とは元をたどれば世の中は無意味だという感情であり、その典型的な表れが探求行動の欠如だ。””
 
 
これは、非常に真理的なことだと思う。常々、未来に希望を持って生きることが、どれだけ大切なことか考え続けてきた。希望を持てている状態の時、何かを探求しているケースが多いように思う。何か達成したいことがある時、そこまでの道のりを思い浮かべ、一歩一歩、歩を進めているような状態。
 
 
他方で、未来に希望を持っていない人は、鬱状態になりやすい。生きる価値を感じ難い。しかしながら、もしも、何らかの好奇心、探究心みたいなものがあれば、人はワクワク、イキイキ生きやすいとも言える。
 
 
””探求は食事、睡眠、セックス、愛と同じくDNAに刷り込まれた行動であり、当然、情動に突き動かされた発見への衝動には長い進化の歴史がある。なんといっても新しいものにはえてして最大の危険と最大の報酬がともなう。新しい考え、新しい人々、新しい動物──これらは私たちの役に立ってくれるかもしれないが、ひょっとすると私たちを殺すかもしれない。やがて時を経て、これらの新しい考え、新しい人々、新しい動物は固有の価値を持つようになる。  ””
 
 
そもそも探求するという欲求、発見への衝動は、最大級の報酬を人間に与えているようですね。
 
本書は、学習する価値、意味を理解させてくれるだけでなく、具体的な学習方法を伝授してくれる。
 
 
””あらゆる問題に対する「解決の動機と手順」を明文化しようと志し、ついに4段階に分かれた体系的なアプローチを提案した。
 
第1段階:「問題を理解すること」。
この段階では、問題の核心や本質の発見に努めなければならない。「問題を理解しなければならない。未知のものは何か?どんなデータがあるか?」とポリアは述べている。
 
第2段階:「計画を立てること」。
ここでは問題に対する取り組み方を計画する。「データと未知のもののつながりを探せ」とポリアは助言する。
 
第3段階:「計画を実行すること」。
行動し、検討する段階である。「計画が正しいと証明できるか?」
 
第4段階:「振り返ること」。
つまり解決法から学ぶこと。「結果および結果に至った道筋を見直すことにより、自分の知識を強化して問題解決能力を伸ばすことができる」 ””
 
とても基本的なことのようだが、ちゃんと実践できていなかった。2019年は、徹底的に、基本に忠実に、問題を理解し、問題への取り組みを計画し、実行・行動して、ちゃんと振り返るということを、繰り返していきたいと思います。
 
 
おまけ
 
””心理学者のリチャード・ニスベットが優れた例を挙げているが、人材採用の決定の根拠は大半が勘程度でしかないという。
ニスベットによると、管理職は面接を重視しがちだ。だが、非営利組織や軍、学界などあらゆる分野を対象にした調査で、面接では実際の仕事ぶりはほとんど予測できないことが示されている。候補者がそのポジションをこなせるかどうかを判断するには、紹介状や経歴や筆記試験などの確実なデータの方がずっと重要である。
問題は面接が「採用活動に適切であると感じられる」ことだとニスベットは言う。たいていの人にとって、面接するという体験は情動に鮮烈に訴えかける強い体験であるため、何年分の確かな証拠が入っている履歴書よりも20分間魅力的にふるまう能力で人を判断してしまう。””
 
採用面接では、人を判断することが出来ない。
 
 
 
 
 
【目次】
イントロダクション
ダーツの実験/「究極のサバイバルツール」/体系的アプローチ
 
第一章 価値を見いだす
意味を自ら発見する/学びを自ら「作り上げる」/探索する種/「知的努力には伝染性がある」/意味とは学ぶこと/言語の摩滅/マインドセットの大切さ/MET研究
 
第二章 目標を決める
短期記憶の容量の小ささ/知識は学習の土台/学習にコンフォートゾーンはない/思考の質を上げる/思考についての思考―そして情動/感情管理の必要性/自己効力感/学習は難しくて当たり前
 
第三章 能力を伸ばす
モニタリング/外部からのフィードバック/苦労の本質と反復/「検索練習」/脳の可塑性/間違いの心理
 
第四章 発展させる
マイルス・デイヴィスの傑作/学習の発展としての議論/応用の必要性/「ハイテック・ハイ」/人に教えるという学習方法/不確実性の価値/「多様性は人を賢くする」/疑問の大切さ
 
第五章 関係づける
システム思考/「最大の認知上の障害」/仮定思考/ハッキング/視覚的アプローチ/アナロジーの価値/問題解決のスキル
 
第六章 再考する
過信/直感型思考と熟慮型思考/評価する必要性/自分に分かっていないことを知る/分散学習/内省の必要性/静かな時間/「こぶし」実験/無限のプロセス
 
エピローグ