観察する ~21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考~


 

 

 

ここ2,3年の読書のテーマとして、テクノロジーの指数関数的な進化とともに起きうる、世界や社会の変化に対して、強い興味を持ってきたことを思い出す。

 

“あなたはアルゴリズムにつきまとう問題の数々を並べ立て、人はけっしてアルゴリズムを信頼するようにはならないと結論するかもしれない。だがそれは、民主主義の欠点をすべてあげつらって、正気の人ならそのような制度はけっして選択しないだろうと結論するようなものだ。有名な話だが、ウィンストン・チャーチルは次のように言っている。民主主義はこの世で最悪の政治制度だ──ただし、他のすべての政治制度を除けば、と。是非はともかく、人々はビッグデータアルゴリズムについても同じ結論に到達するかもしれない。多くの障害を抱えてはいるものの、それよりましな選択肢はない、と。”

 

本書は、多様テーマを上げながらも、そのような遠くない未来において実現するであろうAIやアルゴリズムからの支配から逃れ得る1つの答えとして、「観察するチカラ」を大切にしようと、示唆してくれている。

 

拍子抜けするようなアドバイスだと感じる人もいるかもしれないが、僕にとっては目から鱗が落ちるような想いとなりました。

 

 

“”実際には、自由意志という幻想を捨てると、深い好奇心が湧いてくる。あなたは、何であれ頭に浮かんでくる思考や欲望をしっかり自己と同一視しているかぎり、自分を知ろうという努力をあまりしなくて済む。自分が何者かはもう完全にわかっていると思う。だが、「あれ、この考えは私ではないぞ。ただの生化学的な揺れにすぎない!」といったん悟ると、自分が何者か、どんな存在か、見当さえつかないことにも気づく。これはどんな人間にとっても、これ以上ないほど胸躍る発見の旅の始まりとなりうる。””

 

“”こうした大がかりな物語はみな、私たち自身の心が生み出した虚構であるとはいえ、絶望する理由はない。現実は依然としてそこにある。人はどんな架空のドラマでも役を演じることはできないが、そもそもなぜ演じたいなどと思うのか? 人類が直面している大きな疑問は、「人生の意味は何か?」ではなく、「どうやって苦しみから逃れるか?」だ。虚構の物語をすべて捨て去ったときには、以前とは比べ物にならないほどはっきりと現実を観察することができ、自分とこの世界についての真実を本当に知ったなら、人は何があっても惨めになることはない。だがもちろん、言うは易く行なうは難し、だ。””

 

“”私たちは、虚構と現実を見分けるのが大の苦手だ。これまでずっと、この違いを見過ごすことに、私たちの生存がかかっていた。それでもこの違いを知りたければ、苦しみが出発点となる。なぜなら、この世で最も現実味があるのが苦しみだからだ。””

 

“”私が気づいたうちで最も重要なのは、自分の苦しみの最も深い源泉は自分自身の心のパターンにあるということだった。何かを望み、それが実現しなかったとき、私の心は苦しみを生み出すことで反応する。苦しみは外の世界の客観的な状況ではない。それは、私自身の心によって生み出された精神的な反応だ。これを学ぶことが、さらなる苦しみを生み出すのをやめるための最初のステップとなる。””