放っておいて一貫した行動がとられるわけではない~良い戦略、悪い戦略~


10月半ばに久々の経営合宿。
そこで、読みかけの書籍を早起きして見直しておりました。

いよいよ200名という規模感の会社となり、対峙する課題、機会の大きさが指数関数的に増えています。
常に謙虚に素直に、日々是新たに、学びですね。


良い戦略、悪い戦略

・良い戦略は、第一に、狙いを定めて一貫性のある行動を組織し、すでにある強みを活かすだけでなく、新たな強みを生み出す。

・悪い戦略とは、戦略が何も立てられていないという意味ではなく、また失敗した戦略を意味するのでもない。悪い戦略では、目標が多すぎる一方で、行動に結びつく方針が少なすぎるか、まったくないのである。多くの人が戦略というものを誤解している。大方の経営者は、目標を掲げることだけが自分の仕事だと心得ているらしく、矛盾する目標や、どうかすると実行不可能な目標を得々として発表する。そのような「戦略」では壮大な言葉遣いが高揚感を演出し、中身のなさを隠している。

・良い戦略は、一つか二つの決定的な目標にエネルギーとリソースを集中投下し、それを達成することによって次々と新しい展開へとつなげていく。これに対して悪い戦略では、いろいろなことを詰め込みすぎてごった煮状態の目標が掲げられていることが多い。  

・悪い戦略は、良い戦略を練り上げるためのハードワークを自ら避けた結果なのである。なぜ避けるのかと言えば、考えるのは大変だし選ぶのはむずかしいからだ。しかし相反する要求や両立し得ない価値観の中から選択をすることこそリーダーの仕事であり、それを放棄するとなれば、悪い戦略しか生まれない。

・良い戦略は重要な課題にフォーカスする。となれば当然、たくさんある課題の中から選びとる作業が必要になる。どれかを選んで残りは捨てなければならない。この困難な作業をやらずに済ませようとすると、ごった煮ができあがってしまう。

・的を絞り込んだ戦略では、明確な目標にリソースを集中させる。そのためには、戦略目標以外からリソースを引き揚げて戦略目標に回さなければならない。これは、選択と集中の必然的な結果である。だが、それまで予算も人員も潤沢に投じられていた事業やプロジェクトを打ち切るのは、大きな苦痛を伴う。

・戦略の極意は、ほんとうに重要な問題をみきわめ、そこにリソースや行動を集中することにある。これは、非常に厳しい。何かに集中すれば、それ以外を捨てることになるから。

・会社という複雑なシステムはてんでんばらばらに動こうとする傾向があるが、それを抑えて一つにまとめる力が働くという意味で、戦略の力はまさに強制的と言える。大きな組織では、放っておいて一貫した行動がとられるわけではない。どこかで指揮をとり、方向づけをすることが必要である。行動のコーディネーションは、戦略がない限り実現しないという意味において、組織にとって自然発生的なものではない。

・良い戦略とは最も効果の上がるところに持てる力を集中投下することに尽きる。短期的には、手持ちのリソースを活かして問題に対処するとか、競争相手に対抗するといった戦略がとられることが多いだろう。そして長期的には、計画的なリソース配分や能力開発によって将来の問題や競争に備える戦略が重要になる。いずれにせよ良い戦略とは、自らの強みを発見し、賢く活用して、行動の効果を二倍、三倍に高めるアプローチにほかならない。

・良い戦略は、知力やエネルギーや行動の集中によって威力を発揮する。ここぞという瞬間にここぞという対象に向かう集中が、幾何級数的に大きな効果をもたらすのである。これをテコ入れ効果(レバレッジ)と呼ぶ。