チームが自然に生まれ変わる 「らしさ」を極めるリーダーシップ


2021年、久々に通った学校、Mindset Coaching Schoolの校長先生の書籍。

Mindset Coaching School での学びは、本当に素晴らしいものでした。過去、Courseraで、イリノイ大学のデジタルマーケティングや、ペンシルバニア大学のゲーミフィケーションのクラスを受講した経験もあるのですが、比べ物にならないほど、濃密かつ満足度の高いオンラインクラス(学校)でした。教育DXって、こういうことだなあ、という点においても、良き体験となりました。

・完全オンライン学習でプロコーチとしてデビューが出来る

・80人ほどの同期が日本全国&海外から参加(心強い仲間となる)

・さらに100名ほどの先輩たちが、真摯に支援してくれて、これまた胸熱すぎる環境・コーチングの理論と技術が、体系的、実践的に習得できる(オンライン動画と反転学習で時間効率も最高!)

・厳格な卒業要件で卒業時の品質を保証

さらに、「レベルの高い基準を満たすために、自分自身を変革する機会が劇的に増える」という、めちゃくちゃ素晴らしいオポチュニティを手に入れることが出来ました。

もともとの契機は、2021年初旬に、年始の決意みたいなものを考えていたとき、200名ほどの規模に膨らんでいた組織を、もっと活かしていきたい、人の無限のチカラを引き出し、磨き上げていきたいというような背景から、このスクールに出会ったのでした。結果として、認知科学のコーチングは、1On1の人間関係に活かせるだけでなく、組織に対するエフィカシーを高めていくギジュツも得ることが出来たかと思います。

以下、引用。

”人を持続的に動かすときには、ある種の目的ないし目標、「 ゴール」が必要になる。人がなんらかの目標を持ち、「なんとしてもこれを実現したい!」「絶対にあれを達成するんだ!」という思いが生まれたときには、その人は外的な刺激を必要とすることなく、主体的に行動をとることができる。”



”最高のチームは 「圧倒的エフィカシー」から生まれる。内的原理に基づいて人を動かしていくときには、「① 正しいゴールを設定する」と同時に、「② それに対する十分なエフィカシーを確保する」ことが必要になる。これこそが「内因的な原理に基づくリーダーシップ」の基本的なモデルだ・”



”エフィカシーはあくまでも「認知」でしかないということだ。つまり、問われているのはあくまでも「その人が『自分にはできる』と 信じている かどうか」であり、「その人が 実際にできる(能力がある) かどうか」ではない。したがって、極端な話をすれば、個人のエフィカシーにとって、エビデンスは必要条件ではない。少々乱暴な言い方をするならば、エフィカシーには、「根拠のない自信」とも呼ぶべき側面があるのだ。”



”慶應義塾大学大学院の前野隆司はこうした知見も踏まえ、人の「意識」とは、心の中心にあってすべてをコントロールしているものではなくて、人の心の「無意識」の部分がやったことを、錯覚のように、あとで把握するための装置にすぎないとする 受動意識仮説 を提唱している。 言い変えれば、人間は内部モデルが行った無意識の計算処理に対して、あとから自分なりの理由づけをして、まるで自分の意思で決定を下したかのように感じているにすぎないというわけだ。”



”内部モデルを書き換えるためには、現状の延長線上にはないゴール設定が必要だ。むしろ、「並の努力ではとうてい達成できなそうなこと」「いったいどうすれば達成できるのか、まったく見当がつかないようなこと」をゴールとして設定する必要がある。”



”リーダーの根本課題は、いかにして人・組織の内部モデルを書き換えるかにある。認知科学的にとらえ直した場合、リーダーシップとは、 内部モデルを変更することで、人・組織の持続的な行動変容を促すプロセス にほかならない。”



”そこで注目したのが「ゴール設定」とそれが描く世界への「没入」だった。現状の外側にありながら、真のWant toに根ざしているゴールを発見し、そこに臨場感を生み出せたとき、内部モデルは根本から変わる。行動につながる情報処理システムのルールが書き換わる以上、人も組織もおのずと生まれ変わり、新しいゴールに向かうエネルギーを獲得することになる。”

”リーダーの セルフ・エフィカシー は、チーム・組織全体に伝播していく。目指すべき共通のゴール世界に対する「没入」が起こり、「自分たちはやれる/やれる気しかしない」という認知が生まれれば、チーム内に存在した「熱量の差」は消えていくだろう。これを 集団的エフィカシー(Collective Efficacy) という。リーダーシップの究極のゴールは、チームの集団的エフィカシーの水準を引き上げて、それを高く保ち続けることである。”



”世界の認知の仕方が変われば、当然ながら、心理的ホメオスタシスが参照する基準点も変わる。その人の脳にとって自然で心地よい場所が「現状とは別のリアリティ」に移ってしまえば、「これまでの現状」のほうがかえって居心地の悪い、どちらかというと不快なものに感じられるようになるはずだ”



”このとき必要なのは、「組織が実現したい世界」と「個人が実現したい世界」とが重なる部分を見出し、それを個人のゴールとして設定していくことだ。「個人として何を成し遂げたいのか」を明確にしたうえで、所属組織の掲げるパーパスと重なる部分を見つけ、それを「個人のゴール」に変えていくわけだ。このように、組織のパーパスを各人の価値観に合わせてパーソナライズするプロセスを、本書では「 パーパスの自分ごと化」と呼ぶ。”



”話題にする「組織のパーパス」は、決して「部署の売上目標」のような現実的なゴールであってはいけない。これでは既存のリアリティに引っ張られた発想しか生まれなくなってしまうからだ。むしろ、会社の経営理念のような「現状の外側」を志向するゴールを選び、それを互いに解釈していきながら、個人のWant toとの共通点を探っていくようにしよう。注意してほしいのは、その過程のなかで本人の欲望が「地に足のついた等身大のもの」になってしまわないようにすることだ。”



”フィードフォワード型の発想とは「未来の記憶づくり」あるいは「未来からのフィードバック」だと言ってもいいだろう。通常のフィードバックでは、「こういう過去がある。ではこれからどうしていくべきか?」という順序で思考が進むのに対し、フィードフォワード的なアプローチにおいては「こういう未来が実現する。だとするとこれから何をしていけばいいか?」という順番になる。あるべき未来像から現在や近未来にやるべきことを逆算していく手法は、 バックキャスティング(Back Casting) などとも呼ばれる。”



”全社員がいきなり現状を超えたリアリティにのめり込むことは難しいかもしれない。割合で言うならば、まず 3割 でいい。 30%を超えるメンバーのエフィカシーが変わってくると、チームが大きく進化するのを実感できるはずだ。 10 人のチームなら3人、100人の組織なら 30 人、1000人の企業なら300人の内部モデルを変えることをまず目指そう。 3割以上のメンバーのエフィカシーが一定レベルを超えると、組織全体にも「自分たちならできる!/できる気しかしない!!」という手応えが徐々に広がっていく”