コミュニティ運営者、コミュニティ事業者として、
・「コミュニティが流行る」要因は複合的なものである。快適に楽しくコミュニケーションができる機能の豊富さや、使いやすいインターフェースといった「ハード」面も重要であるし、運営者のおもてなしや雰囲気作り、コンテンツの編集などの「ソフト」面も重要である
・時代の流れを捉え、サービスの企画・開発期から、立ち上げ期の盛り上げ、その後の成長期へと、それぞれの時期に必要な力を発揮できたサービスだけが生き残り、発展をし続けている
・新しいコミュニティを使い始める際のユーザーの心境は、恋をしはじめた状態に近い、という前提に立ち、どうすればその関係が長く続くか、について考える
・居場所を求める人たちと初期のインターネット。インターネットコミュニティは、具体的にどのような人々に利用されてきたのだろうか。日本のネットコミュニティを最初に使いはじめた人の中でも、とりわけ積極的に利用していた人の多くは、リアル社会になかなか居場所が見つからない人たちだったのではないだろうか。自分が属しているコミュニティに満足している場合、人はなかなか別のコミュニティにまで手を出さない。例えばどうも社会に馴染めない、自分の居場所がない、と感じる人が、新しい帰属先を求めて別の場所に移動する
・コミュニティサイトの成功を考える場合に、最も役に立つのが「恋愛術」である。コミュニティサービスとユーザーの関係は、恋人同士の関係と似ているためだ。相手(ユーザー)をどれだけ自分(コミュニティサービス)に夢中にさせる
・匿名性 社会的な属性、個人情報などを隠して活動ができる。
・反応性 情報や質問を書き込んだことに対するリアクションが速い。
・平等性 サービス利用者は平等である。平等性が保障されているため、いろいろなユーザーが集まり、多様性が生まれる。
・正確性 集合知により、誤った知識や情報はユーザーの手によって排除され、修正される。
・感情性 匿名性の高いユーザーはもちろん、記名のユーザーも本音、もしくはそれに近い感情が出やすい
・「反応を書き込むことで、ユーザーに良いことがある(例えばサービスポイントの付与、ユーザーのランクアップなど)」 「反応を多く得ることで、書き込む人にさらなるメリットを生む」 「リアクションを書きやすい表示・デザイン」 「プログラムで自動的に反応を行う」 といった、工夫が必要である
・恋愛もコミュニティサービスも「求めよさらば与えられん」ではなく、「与えよさらば与えられん」の世界だ
・多くの人間は、「第三者の反応」が本能的に気になるので、スターやブックマークなどで可視化させるはてなは、この「気になる欲求」を満たすサービスを提供しているといえよう
・定期的なサプライズ マンネリとは「予測外のことが起こらない」ことだ。良くいえば安心感、悪くいえばツマラナイ感だ。これを打ち破るのに効果的なのが「サプライズ」だ
・記念日を大切にする 2人がつきあいはじめた期間は、愛の成績といえるだろう。その成績を称え、確認するために必要なイベントが「記念日」だ
・未来・夢を語る 自分、もしくは2人の未来や夢を語るのは、マンネリ打破に効果的なアプローチである。
・まず、ネットコミュニティの肝ともいえる前提条件から説明したい。それは、コミュニティとは「ユーザーがつくっていくもの」であるということゆえに、絶対に流行るコミュニティというものを運営が意図してつくることは不可能である。人々がいつ、どのように行動するかをあらかじめ計算するのは不確定要素が多すぎるため、そうした設計はほぼ不可能だからである。コミュニティサービスをつくるということは、通常のサービス設計と違って、複雑性が高いのだ
・コミュニティサイトの設計で最初に考えるべきことは、投稿するユーザーが、何を楽しみにして投稿するか、という点である。他のユーザーと会話を楽しみたいのか、他の人の役に立つ投稿をしたいのか、自己顕示欲を満たしたいのか、など、それぞれのユーザーによってモチベーションは違うが、サービスとしては、どのモチベーションを一番中心におくか、というのが設計の肝となる
・拡大期とは、まさにこの、自動的にユーザーが増えていく仕組みになったときのことを指す。具体的には、「①書き手が集まっており」「②投稿されたコンテンツが十分に揃い」「③読み手が増えつつある」という状態になれば、拡大期に入ったと考えてもよい。 では、拡大期に入ったら、どんな施策を打てばよいのか
・SNSですら、2011年にツイッターのアクティブユーザーが1億を超えた時に、読むだけのユーザーは40パーセントだと発表されているし、そのほかのサービスでも、読むだけのユーザーが30パーセント近くいるとする調査もある。どのみち、人数が多くなればなるほど、読み手の割合が増えていくということだ
・「読み手」を意識する方法 では、実際に読み手を意識するとはどういうことだろうか? 書き手を意識する場合は、どんな書き手でも使いやすいような機能を充実させるという、いわば平等な施策を打つことになるが、読み手を意識した場合は、「おもしろい投稿ができるユーザーが優遇される」ことになる
・運営者側が、ピックアップをして、おもしろい投稿を紹介してもよい。これなら、書き手に変化を求めずに、気軽に読み手にとって便利な状態をつくることができる
・2年くらい運営されているサークルにあとからひとりで入るようなものだ。中ではすでに人間関係ができあがっており、共通の話題もある、となってしまうと馴染むのに時間がかかる。コミュニティでも同じで、あとから入る人にとっての敷居が上がってしまうと、そもそも入りたいという気持ちがなくなってしまうのだ
・コミュニティをつくるうえで重要なことに、そのサービスをつくった人がどういう人物なのか、という点もある。人と人がコミュニケーションをする場である以上、その中心となる人に左右される点は否定できない
・人間は他者とつながり合わないと、自分というものを確信できない。だから、フェイスブックやLINEといったものが流行るのは当然だが、そこには非常に短い言葉のやりとりしか存在しない。しかも、即時性が求められる短い言葉のやりとりが中心になるほど、そこから多様な意味を読み取れるようになる。だから、スタンプや顔文字を使って視覚情報を補おうとするのだろうが、それでも十全とはいえない
・世間の意見の総和では、人を感動させることはできない。感動させるのは、常に個人だ。我々は、個人の感動体験をやりとりしながらお互いにつながっていくが、それはやはり視覚的な出会いをきちんと演出しなければできないものである。
・仮想空間で信頼関係は醸成できる
・心と心が触れ合うために必要なものは何かというと、それは時間である。人と人とをつなぎ合わせるのは、話の内容ではなくて、共に過ごした時間なのだ
・そもそも「コミュニティ」とは何だろうか。 大きく見れば、コミュニティというものは2つの側面をもっている。 ひとつは「情緒的な側面」。これは文字通り、人間はコミュニティに属することで、情緒的ないし心理面での安心感や安定、あるいは自己確認を得るということだ。もちろん、そこに様々な〝愛憎〟や葛藤、抑圧などネガティブな面が生まれることもあるもうひとつは「情報」としての側面。思えばコミュニティとは、〝何らかの「情報」あるいは世界観(=意味の体系や秩序)を共有する集団〟ということに他ならない。少し考えてみれば明らかなように、実は「コミュニティ」と「情報」とは不可分の関係にあるのだ
・「社会的孤立」とは、〝家族以外〟の他者とどれくらい交流や付き合いがあるかに関するもので、結果を見ると、先進諸国の中で日本がもっとも「社会的孤立度」が高い国になっている。
・日本社会の特徴を「集団の孤立性」を「農村型コミュニティ」と「都市型コミュニティ」という視点で論じてきた。前者はいわば〝集団の中に個人が溶け込み、集団が「内側に向かって閉じる」ような関係性〟であり、後者は〝個人が集団から独立しながらつながるような関係性
・「人のために何かをしてあげたい」という純粋な動機で開発したものが成長し、「ヒットさせたい」「売上を伸ばしたい」といった、コミュニティの本質からそれた動機で開発したものは大方盛り上がらなかったといえる
・飲み会にしても、「今回の飲み会はなんだか楽しそうだ」と感じれば参加するし、「どうも盛り上がるイメージが湧かない」という場合には参加を控えるだろう
・ビジョンの提示、支持するフォロワー 「この人について行くと楽しそう」と人に思わせられる力を、もう少し一般的な言葉でいえば、「ビジョン」ともいえるのかもしれない。「ビジョン」というと一般的に、言葉として定義され、誰もが復唱できるようなものを指すが、ここでいっているのは、必ずしも言葉になっているとは限らず、「この人には未来のイメージが見えているようだ」と思わせる「何か」くらいのもので、もう少し複雑なものだ
・「人のために役に立ちたい」という純粋な気持ちで始めたサービスがヒットしやすいのも、「こんな未来を作りたい」という動機が利用者にも伝わり、「そういうことならついて行こう」「どんな未来になるのか見てみたい」というフォロワーが生まれる
・「コミュニティはどこから生まれるか」という起源についていえば、言い出しっぺであるリーダーと、初期のフォロワーによる「熱量の高まり」のようなものなくして、コミュニティは生まれ得ない
・人間は、人とのつながりを求める生物である。何らかのコミュニティに属すことができなければ、多くの人は幸福を感じることができない。インターネットは、そうした人間に、人とつながるための新しい方法を提供し始めた。そしてこれからさらに、よりリアルに近い方法でつながることができるようになっていくだろう