当たり前の再定義。『ガーバー流 社長が会社にいなくても回る「仕組み」経営 (中経出版)』を読んで。


「仕組み」を創った方が良いなんて、誰だって分かってる。
すでに十分、仕組みを作っているよ。マニュアル創りは、お手の物だ。
そんな風に考えているビジネスマン、経営者は、世の中に山ほどいるだろう。

僕も、ある程度のことは、
それなりに、やってきた「つもり」だった。
しかし、自分が考えていた「仕組み」は、
十分なものでないと、改めて思い知ることになった。

もしかすると、ある程度のレベルの会社を経営している方々にとっては、
この書籍に書かれているような「仕組み」を創ることは、当たり前のことなのかもしれない。

そういう、誰かにとっては、もしかしたら、当たり前かもしれないことを、
僕自身は、僕の周囲の人達は、気付けていないだけなのかもしれない、という風に考えるようになった。

どんな書籍を読んでも、
どんな先輩経営者の話を聴いても、
鵜呑みにするには、
結局のところ、前提条件が違い過ぎて、参考にならない、
そんな風に考えることも多かったし、
実際に、社内で、何かを動かそうとした時、
一筋縄に行かないために、なんとなく推進し切れずに、済ませてしまうことが多かった気がする。

しかし、今年は違う。
過去の自分たちを全否定し、
改めて、自分たち「らしさ」を追求していこうと考えている。

自分たち「らしさ」を再定義すること、
つまりは、自分たちの「強み」を再定義し、それを強化していくということ。

日々是新、とは言うけれど、
今年こそ、圧倒的に学び続け、実践し続け、
着実に、確実に成長し続けていきたいと思う。

【抜粋】
● ほとんどの中小企業が失敗に終わってしまう理由は、この3つの人格のバランスが取れていない経営者があまりに多いからだ。ガーバーは、9割方の経営者は「起業家」の人格を持っておらず、「職人」のままに留まっていると看破している。

● 「人材志向」から「仕組み志向」に考えを転換することだ──そうガーバーは言う。  人材志向とは人中心で考えること。 「この仕事はAさんにはできるけど、Bさんにはできない」という考え方である。  一方、仕組み志向とは人に依存せずに、誰がやっても同じ結果が出るような仕組みをつくる考え方だ。AさんにもBさんにもできる状態をつくるわけである。

● 「人」に依存しないで「仕組み」に依存する。

● 冷静に考えてみてほしい。 「3人の店長に裏切られた」といえば、たしかにそうなのかもしれないが、彼らはそれぞれの店舗で身につけた自信と実績をベースに、「独立」という至極まっとうな選択をしただけだ。  ここで問題だったのは、3人の店長の忠誠心をしっかりと握っておかなかったことではない。  むしろ、太田社長が「経営者のやるべき仕事」をしていなかったのである。  3人の従業員が退職しただけで、ビジネスが立ち行かなくなるということは、やはり根本的に何かが間違っているのである。

● 「人」に仕事をつけるな、「仕事」に人をつけろ。

● 「仕組み志向」の会社は、「正しく仕事が行われているかどうか」に注意を払う。つまり、仕事の「やり方」のほうに焦点が当てられており、それを「誰がやっているか」は重視しない。  その仕事が「優れた方法」で進められているかどうか、その仕組みに依存して組織が回っている状況であるかを見ているのだ。

● あなたのビジネスに欠けているものを探せ(What’s missing piece in this picture?)欠けているものとは、もう少しわかりやすくいうと「一点突破」のことだ。お客様の不満を一点だけ突くのだ。

● 「オーディナリー(普通)なビジネスを、エクストラオーディナリー(偉大)なビジネスにしなさい。

● モデリングとは「理想の誰かを想定し、その動作や行動を見て、同じような動作や行動をすること」だ。  あなたのビジネスでモデリングできる人物、普通のビジネスを驚異的な方法で行っている人物を「モデル」として見つけるべきだというのである。

● 組織図は「マニュアル化」のための基礎になる。

● 中小規模のビジネスにおいては、1人の人材が複数の仕事を兼務していることが多い。そのため、ある仕事の責任の範囲がどこまで及んでいて、どういう目的を持っているのかがすぐに不明確になる。  それぞれの仕事の境界が曖昧だからこそ、人にさまざまな仕事が貼りついてしまい、特定の仕事を別の人に引き継ごうとしても、なかなかそうできないような構造になってしまっている。

● 組織図がない限り、優秀な人材に依存せず、マニュアルだけで回り続ける組織をつくることは不可能なのである。それぞれのポジション(職位)を書き終えたら、今度はそれぞれに求められる「結果と責任」についても書いている。職務契約書はそれぞれの役割について、「なぜこの仕事が必要なのか?」にまでさかのぼって明確にするものでなければならない。

● 自分に求められていること、部下に対してすべきこと、上司に対してすべきことをはっきりさせるのである。

● 「ゲームのルール」に賛同してもらい、社員に自分で動いてもらう。
・会社のなかの各ポジションが達成すべき結果
・そのポジションが責任を持って行うべき仕事
・評価の基準

● 「自分が何をすれば評価されるのか?」について迷わずにすむようになっていなければならない。「どうすれば自分の給料が上がるのか?」を従業員がわかっていない企業では、究極的に仕組み化はうまくいかない。

● 「何をすれば給与が上がるのか」がやはり明確になっていたことだ。実務においては次の3つのツールが機能していたという。 ①キャリアパス 将来の道筋を示すツール ②トレーニング 実際の技術を向上させるツール ③勤務評価   仕事を適正に評価するツール  ①の「キャリアパス」とは、働く人がキャリアアップしていく道筋を示したものだ。たとえば、100の習得すべき知識・技術がある場合に、「10だったものが20になれば、時給や地位がどれだけ上がるか」といったことを規定している。②の「トレーニング」は、キャリアパスに基づいて自分がランクアップする際に必要な、習得すべき仕事のマニュアルやプログラムである。マニュアルに対応したチェックリストを使って、知識・技術の習熟度を確認している。③の「勤務評価」は、本人の努力によって習得した仕事や勤務態度を公正に評価するためのツールだ。

● 彼の師たちはみな「1つの信条」に従って生きていたのである。つまり、何ごとにもそこには「決められた方法」があり、それに従ってやることをマスターしさえすればいい、という思想である。セールスやサックスや建築と同様、「うまくいく方法」をうまくいっている人から学ぶこと、すなわち、彼らの方法を「仕組み化」すればいいと彼は考えた。

● アントレプレナーシップの根底にあるのは、「世の中をよくしたい」という個人の強い想いと、チャンスへの敏感さだという。これらがあったからこそ、自分自身も起業家精神に目覚めることができたというわけ。

● 何気ない日常のなかにこそ多くのアイデアの源が眠っている。 「いつもと違う道を通ってみる」「ちょっと立ち止まって考えてみる」「髪型を変えてみる」──そういう行為や時間が、結局人生を何倍にも豊かにし、すばらしいアイデアの源になるのだと思う。  まずはルーチン(日常)を変えてみるところからはじめよう。日常のなかの小さな気づきが大きなアントレプレナーシップ(起業家精神)を生むはずだ。

● 「小さな」理念では「小さな」会社のまま  したがって、中小企業は戦術面では大企業と徹底して差別化しつつも、経営理念をつくる段階においては、彼らのものを存分にお手本にするべきなのである。

● 数値化の最大の意義は、「いま現在やっていることが正しいのか間違っているのか」を確認できることにある。逆に言えば、数値化をしない限り、すべての経営判断には「基準」がない。勘ばかりに頼った経営をしていると、いまいる場所を見失って迷走しかねない。いったん数値化してしまえば、社長がいなくても数多くの判断が正しいのかどうかを評価できる。経営者不在でも回り続ける優良企業に生まれ変わるためには、数値化とそれに基づく基準づくりが不可欠なのだ。

● オープンブックマネジメントを導入しつつ日次決算をしていれば、従業員も「1日の売上目標」から「不足している売上額」を逆算することができる。  こうすることで、足りていない売上分について、経営者だけが頭を悩ませるのではなく、従業員自らが対策を考え、実行することができるというわけ

● 社内でのコミュニケーションがいつもその数値に基づいたものになるような環境をつくれば、彼らだけでも正しいアクションが取れるような素地が出来上がっていくはず

● ガーバー流マニュアルとは、端的に言えば「ベストと思われる作業の手順(順番)を記録したもの」である。  さらに重要なのが、誰がやっても同じような品質の仕事を、同じような時間内にできるようにすることだ。人によって仕事のレベルに違いがあるようでは完璧なマニュアルとはいえない。マニュアルを作成する場合に必要なのは、次の4つの項目である。 ①目標 ②役割 ③必要なもの ④ステップ。

● 社員が自らカイゼンできる企業というのは、経営者が何人もいるということに等しい。しかし、社長がいなくても成長を続ける企業になろうとするのであれば、こうした状態をつくり出すことが不可欠なのだ。社長が会社にいなくても、従業員たちが自らカイゼンを行い、会社を成長させていけるような状態は、どのようにすれば実現できるのだろうか?  ここで「イノベーションミーティング」を紹介しよう。これは毎週1回、会議を行い、各従業員に「今日やろうと思っている新しいこと」を発表してもらうという方法である。


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