IT✕福祉が切り拓く新たな可能性を目指して~『福祉を変える経営、小倉 昌男』を読んで。~


 

本書著者である、 ヤマト運輸創業者、小倉 昌男さんは、 退任後、ヤマト福祉財団を設立、 福祉業界に大きな貢献を果たした傑物でもある。

 

「福祉を変える経営」では、 日本の福祉業界、障がい者の労働環境に、 大きな問いを投げ、 障がい者の労働は、 特別な仕事ではなく、 障がいを持つ人達を健常者同様に扱い、 福祉事業者側も、経営者として、商売人として、 市場経済の中で、価値ある活動を行い、 利益を生み出すべきと、語って下さっている。

 

 

僕達は、今まで携わってきたIT業界での経験が、 未だ旧態依然とした福祉業界の中で、 どう活かしていけるか、模索している。 直近の状況は、昨年末、 一念発起して、新会社を立ち上げ、 ようやく事業所の開業までこぎつけたところ。

 

まずは、僕達が掲げる構想や計画について、 利用者さん、および、関係者の方々に、 興味を持ってもらえるよう尽力している。 その過程で、 いろんな経験をなさって来ている方々からの アドバイスに真摯に耳を傾け、 ご指導ご鞭撻を承りながら、 試行錯誤し、改善していきたい。

 

まだまだ道半ばであるが、 多大なる可能性を感じている。 当然ながら、 僕達の知らない厳しい現実が 待ち受けているであろう、 現時点で僕達が掲げている理想の通りに 進まないこともあるだろう、 しなしながら、 どんな試練をも乗り越え、挑戦し続け、 利用者さんと、 その家族を中心とした関係者の方々の人生が、 よりハッピーになれるよう、 素敵な居場所を育ていきたいと、思っている。

 

 

 

  【書籍より抜粋】

 

「障害者の自立」とは、簡単にいうと、働いて、収入を得て、生活することだ――。私はそう定義してみました。なぜかというと、働かなければ収入が得られない。収入がなければ生活できない。だから自立というのは、まず働くことから始まるわけです。

 

 

 

 

● ノーマライゼーションというのは、障害がある人もない人も同じように生活できる、権利も義務も同じように持って生活できるということです。それがノーマライゼーションの理念です。

 

● いま、障害者に必要なのは、社会に出て健常者と肩を並べて仕事をし、自立できるだけの給料をとる仕組みをつくることではないか。それが真のノーマライゼーションだろう。ならばその手始めとして、障害者が集う共同作業所を改めて「仕事の場」と位置づけ、ちゃんとおカネが稼げるところにすべきではないだろうか。

 

● 障害者が趣味を楽しめるようなノーマライゼーションの基本、それはやはり彼らがちゃんと働いてちゃんと稼ぐことです。スワンに来て働く。多少体調が悪かったり、気分が乗らなくても時には我慢して働く。我慢して働くということを教えなければだめだと思う。それが結局は働く喜びにつながります。

 

● 最初から趣味をやらせるだけではダメなのです。共同作業所で陶芸教室などを開くのはかまいません。でもその前に、障害者にいかに「楽しくそして儲かる仕事」をしてもらうかを考えるべきなのです。

 

● 仕事をばりばりやる若さが彼らにはあります。  そんな障害者の方々にとってみれば、健常者同様、やはり「働くことが幸せ」であり「働くことが生きがい」ではないでしょうか。そして、一般企業に働くことが最終目標であり、その訓練のために共同作業所はあるのではないでしょうか。私はそう考えています。

 

 

 

● ノーマライゼーションとは、階段を減らしてスロープをつくり、車椅子が通りやすくするといった「かたち」だけの話ではありません。障害者と健常者との間に横たわる「差別の心」をなくすことなのです。

 

 

● 今日、ヤマト運輸が成功した理由の一つは、セールスドライバー、つまり最前線の従業員にやる気を出してもらったことにあります。そのために何をしたかといいますと、「サービスが先、利益は後」という会社の方針を伝え、どうすればお客さんに喜んでもらえるサービスを実現できるのか、現場の従業員一人ひとりに「経営者になったつもり」で考えてもらいました。

 

障害者だってやればできるのではないでしょうか。むしろ自発的にやる気を起こさせるためにはどうしたらいいか考える。これが共同作業所の方々にとってとても重要な課題だと思います。  私は、おカネの問題つまり給料とそれから生きがい、その両方が重要だと思います。今まではまさしく「福祉的経済」の考え方で、みんなで同じことをさせようとして、一番能力の低い人に合わせた仕事をするといった傾向がありました。けれども、そうなると障害の軽い人は仕事が面白くない。もっとやりがいのある仕事がしたいと考えると思います。

 

もちろん重度の障害者の場合、生きがいのほうに力を入れて、たとえば介助者が支えながら非常に単純な作業をするという方法もあるでしょう。  けれども、一般的には、この仕事がうまくいけば給料が増えるというインセンティブをつくることが、障害者の就労問題においても非常に重要だと思います。

 

● 人間、一階から二階へいきなり飛び上がることはできません。でも階段を一歩一歩上がっていけば、二階どころか、三階、五階、一〇階と上がることができる。経営も一緒です。まず目の前の目標をがんばって達成し、その次にもう一段上の目標を立てて頑張ってみる。そうすれば、いつかは一〇万円、あるいはもっと高い給料も実現不可能ではないのです。

 

● 経営というのは甘いものではありません。もうこれ以上は引けない、というぎりぎりのところで、道を選択しなければならないことが何回もある。それが経営です。だから私はいつもこう言ってきました。 「まず実行しなさい。そして実行しながら考えなさい。失敗したら、そのときはそのとき。その失敗を踏み台に、前に進めばいい。やればわかるし、やればできるのです。やらなければ、永遠にわからないし、永遠にできないのです」

 

● 互いの苦しみを知り、支え合う制度  業務だけでなく、センターでは週に一回、「つどい」と呼ばれる話し合いの場を設けています。そこでは毎回テーマを設け、一人ひとりが抱える悩みや経験を話し合うそうです。たとえば、閉鎖病棟で感じた孤独など、この場だから語り合える辛い経験をみな抱えているようです。けれども、みんなで話し合って前向きになり、次の一週間に向かっていこうというのが、「つどい」の狙いです。そうした効果は上がっているということです。  つどいの場での発言は、センターが制作するミニコミ紙に掲載され、関係機関などに送り、地域社会とのネットワーク形成に役立てられます。スタッフの願いは「親が元気なうちに、メンバーそれぞれが自立し、納得のいく社会参加を果たしていくこと」だといいます。そのために、これからもより効率のよい経営を目指していくと張り切っています。

 

 

 

 


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