変化適応し続けることを楽しめるように~人工知能が変える仕事の未来~


 

 

 

ブームや流行とは呼び辛いくらいに人工知能的なものが社会に進出し始めている中で、マジョリティの意見は、「理系優位論」が横行しているように思いますが、本当にその通りなのでしょうか。確かに、AI(エンジニア)に興味を持つことは、ウェブ(エンジニア)に興味を持つことよりも、ずっとハードルが高く、取っ付きにくいイメージがあるでしょう。実際のところ、例えば、PHPと言った言語を学ぶよりも、機械学習や深層学習のようなものを本質的に理解することは実際に難しいと感じていますが、皆さんはどうでしょうか?

 

例えば、本書で紹介される「データサイエンティスト」は、以下に触れられているように、少々、極端な表現が含まれているものの、要するに、このようなハイレベルなスキルが求められているとすると、いわゆる一般的、平均的な人たちが挑戦しようと思えるのか、という問いは、とても重要なものに思えてきます。

 

”「データ・サイエンティストに求められるスキルとは、どのようなものなのだろうか。ダベンポート博士によると、それは大きく分けると、技術、ビジネス、分析、そして人間関係の4つだという。  技術は、コンピュータを使いこなす能力を指す。ビッグデータを扱うため、大容量データを効率的に処理するシステム環境の構築から、データを処理するプログラミングまで、相当に高度なスキルが要求される。  単にデータを処理するわけではない。ビジネスの現実を知らなければ、新しいことを考える方向性を見誤ってしまう。ビジネスを知り、正しく分析することが要になる。この、ビジネスと分析の能力は、いわゆるビジネスアナリストの役割と似ている部分だろう。  最後に人間関係(コミュニケーション能力)を取り上げた視点が面白い。従来型のビジネスアナリスト像を語るとき、人間関係はビジネススキルの範疇にあった。それをわざわざ独立させたのには意味がある。ビジネスアナリストは意思決定者とコミュニケーションできれば問題なかったが、データ・サイエンティストはそれに加えて製品マネージャーや企画幹部、サービス所長、チームメンバー、そして顧客など、幅広い人々と意見を交換する必要があるためだ。  これら4つの能力を兼ね備えた人材は、現実にはほとんど存在しない。そこで多くの企業は、データ・サイエンティストのチームを編成する。たとえば、GEは400人のデータ・サイエンティストを抱え、彼らを複数のチームに分けてさまざまな事業分野の分析を行っている」。”

 

しかし著者は、理系的人財を賞賛する派ではなく、むしろ文系的人財および芸術系の人財こそ重要であると示唆してくれています。

 

”『文系、人文科学系、芸術系の人材育成こそ重要』文系学部、特に、社会科学系より人文科学系、そして芸術系の学部こそ育成し、振興しなければならないでしょう。自然科学・工学系でも、AIの出来損ないのようにゆっくり不正確な計算をする人材ではなく、最高度に洗練されたディープラーニング応用システムのように、大局観をもち、上司や組織のリーダーの予測もつかない提案を出し、ビジョンを描き、あとからじっくりそれが理解されるようなミニ天才を多数輩出すべく、創造性を引き出す教育に大きく舵を切るべきでしょう。  天才が多く生息していそうな芸術系学部の強化、定員増にも力を入れるべきでしょう。すでに、美術系、デザイン創造を専門とする学科の卒業生は、オンライン・サービス運営会社などから引っ張りだこになっていると聞きます。ヤフー・ジャパンなどでも、プログラマー以上に貴重な人材として、採用に注力しているようです。ディープラーニングの応用用途の中でも、生成系のAIにお手本の画像はじめクリエイティブ作品を創って教え込めるのは、このようなオリジナルの芸術的能力を発揮できる人々だからです。 ”

 

着実に確実に訪れるであろう、人類史上、稀なる革命的な社会変革期において、仕事が無くなることを恐れ過ぎるべきではないと考える人達は、往々にして、あまり深く考えていないか、しっかりと準備しているか、新たな時代に適応できるだけの知識や知恵を持ち得ていることが多いように思います。

僕が思うに、身も蓋もないかもしれませんが、恐れ過ぎず、軽視し過ぎない、絶妙なバランスの中で、自立的に生きられるよう、常に学び続ける習慣を持つこと、すなわち、世界に合わせて変化適応、進化し続けられる自分であり続けていくべきだと考えます。学ぶことや、変化することを楽しめることこそが、幸せに生き続ける大切な要素ではないか、と。

 


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