変わろうとするチカラを阻害する慣性の構造。~なぜ人と組織は変われないのか _ ハーバード流 自己変革の理論と実践~ 


 

持続的成長を標榜する企業にとって、『絶え間ない変化』というものは、車を走らせる『ガソリン』のような存在であって、変わることを諦めるというのは、チームの存続を諦めるということに同義と思われる。

 

人の目に触れやすい情報は、ほとんどの場合、成功物語ばかりなので、こんなことを書くと、いやいや失敗物語もあるでしょ、と、突っ込みを頂くのだが、ここで定義させてもらうなら、それは「大」失敗物語であることが多い。そもそも「小さな」失敗に関する逸話なんて、誰も興味がなくて見てくれないし、誰も書きたくないし、表明したくないものだ。

 

だから、巷にあふれている失敗物語は、すでに、それなりの成功をしている人の失敗エピソードだったり、「借金100億円で自己破産!」とか、「脱サラしてスタートアップしてみたけど、1年で潰れちゃいました!」みたいな、シンボリックなストーリーばかりになる。得てして、世の中の、中小、零細企業が直面している、無数の小さな失敗物語は、あまり日の目を見ないのである。

 

世の中のニュースにしてもらうほどの活躍はしていないものの、スポットの当て方次第では、非常に面白いドラマチックな会社って案外に沢山あると思う。そんな世の中にあまり出てこないけども、けっこう面白い会社の変革ドラマは、実際のところ、道半ばにして頓挫する、つまり、「変われないチーム」ってやつが、めちゃくちゃ存在しているんじゃないかと。決意新たに、鼻息荒く、「よしゃ!やったるぞ!」と、意気込み、ものの見事に失敗するならまだしも、何とか食べていける程度の稼ぎを手にし、やむにやまれず、目先の仕事に追われ続けているような企業が星の数ほど存在してるだろうと。

 

何を隠そう、僕達自身が、そんな恥ずかしいパターンにハマってしまっている。なかなか変われないチームの模範事例なのかもしれない。一時、月次10%ほどの成長を十数ヶ月続けた経験を持ち、それなりの成長可能性を秘めた事業、プロダクトを創りあげることに成功したのも束の間、その資金で新規事業に投資するも、芽が出ず、既存事業の成長が鈍化するという大変な時期が続いていた。

 

当然ながら、指を加えて、立ち止まっていたわけではなく、チームで、変化を誓い、再成長することを目指し、走り始めるのだけど、なかなか、どうして「変われない」。その都度、経営幹部と共に「変わろう!」と決意するものの、大きな変化を創りあげることが出来ずに来た。色々な挑戦をしてきたつもりだけれど、結局のところ、大きな変革を果たしきれていない。どうすれば変われるのだろうか。合意も取れて、決意も十分、しかし、変わり切る道中で、いくつかの試練、障害の前に、頓挫して来た。

 

そんな折、この書籍のタイトルに惹かれ手にとった。決意しても、変われないのには何らかの理由があるはずだと思い、人や組織が変わるためのヒントとするべく、読み始めた。実際に読んでみて感じたことは、変化を決意し行動し始めても、その行動を阻害する要因、その行動を続ける以上に、強力な裏目標があるとか、もしくは、本人が自覚することのない固定概念があるという構造、フレームを手に入れることが出来たこと。そういう見えないものを見えるようになって、七重八重の段取りを仕掛けていけるようにならないと。
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なんて書いたのが、数カ月前、ようやく、兆しが見えている。変わろうとすること、変わることが出来ると信じること、そして、気持ちだけではなく、1つ1つ、阻害要因を取り除き、日々前進する。

 

 

【抜粋】
●最近の研究によると、食生活を改めたり、もっと運動したり、喫煙をやめたりしなければ心臓病で死にますよと専門医から警告されたとき、実際にそのように自分を変えることができる人は、七人に一人にすぎないという。たった七人に一人だ! しかし、生活習慣を変えない六人だって、長く生きたいと望んでいる。長く生きて、もっと多く夕陽をながめ、孫の成長を見守りたいはずだ。そう、この人たちは自己変革の重要性を理解していないわけではない。自分を変える背中を押すインセンティブもきわめて強い。どこをどう変えればいいかは、医師から明確に指示されている。それなのに、自分を変えられない人が七人のうち六人、すなわち約八五%もいるのだ。

 

● 人は自分の命にかかわる問題でさえ、自分自身が心から望んでいる変革を実行できない。それなのに、人々が失うものと得るものがそこまで大きくないときに、リーダーが変革を推し進めることなど可能なのか? たとえリーダーとメンバーが変革の重要性を強く信じているとしても、それは難しいだろう。  なにが変革をはばみ、なにが変革を可能にするのかを知るために、新しいアプローチが必要なことは明らかだ。  心臓病で死ぬ危険があっても生活習慣を改めない人たちがそうだったように、リーダーと組織のメンバーが変革を成し遂げることを妨げている要因は、基本的に意志の欠如ではない。本当の問題は、自分が本心からやりたいと望んでいることと実際に実行できることの間にある大きな溝だ。この溝を埋めることは、今日の最も重要な学習上の課題である。

 

● 世界が複雑になっているように思える原因は、世界の側だけにあるわけではない。自分自身の側にも原因がある。問題の本質は、世界が要求する行動と個人や組織の能力との間にギャップが生まれていることだ。世界が「複雑になりすぎている」と思うとき、人は世界の複雑性に直面しているだけでなく、世界の複雑性と現時点での自分の能力の複雑性(つまり能力のレベル)の不釣り合いにも直面している。論理的に考えて、この不釣り合いを解消する方法は二つに一つだ。一つは、世界の複雑さを緩和すること。もう一つは、自分の能力のレベルを高めることである。しかし、世界の複雑さを緩和することはそもそも不可能だ。その一方で、大人が自分の知性を高めることも不可能だと、長年考えられてきた。

 

● 他人の自己変革を支援するとき、その人物について知っておくべき重要な情報が二つある。一つは、相手が本当はなにを望んでいるのか。もう一つは、相手がどういう行動を取っているせいで、その目標が実現できていないのか。

 

● 変革がうまくいかないのは、本人がそれを本気で目指していないからではない。心臓を病んでいる人が禁煙の目標を貫けないとしても、その人は「生きたい」と本気で思っていないわけではないだろう。変革を実現できないのは、二つの相反する目標の両方を本気で達成したいからなのだ。人間は、矛盾が服を着て歩いているようなもの。そこに、問題の本当の原因がある。「免疫マップを見ると、私は自動車の運転席に腰掛けて、片足でアクセルを踏み、もう片足でブレーキを踏んでいるようなものですね!」と、ピーターは言った。彼は自分を変えたいと思っているけれど、自分の核となる部分を守りたいという思いもいだいている。

 

● マーチン・ルーサー・キング牧師がリーダーとして優れていた点は、公民権運動を白人対黒人の戦い(この図式がアメリカの社会を分断させていた)ではなく、合衆国憲法に代表されるアメリカ建国の理念と現実との戦いとして位置づけ直したことにあったと、リーダーシップ論研究者のロナルド・ハイフェッツは指摘している(5)。そういう戦いであれば、少なくとも潜在的にはすべての国民が一致結束して戦える可能性があるからだ。問題の構図を転換させても、すぐに対立がやわらぐわけではないだろうが、戦いの性格を変えることはできる。人々が敵と味方にわかれて対立し合うのではなく、理想と現実のギャップに、誰もが解決への責任を負うような問題に、みんなで目を向けるよう促せる。世界には、望ましい変革をすべて実現できるほど大勢のカリスマ的リーダーはいないので、カリスマ性のない普通の人が良心的に取り組むことによって、キング牧師のように一つの集団の行動パターンを転換していく必要がある。

 

● 誰にでも自分を変えられる可能性はある。ただし、一つ強調しておきたいことがある。そのような変化はひとりでに起きるわけではない、ということだ。自己変革を成し遂げようと思えば、知性を発達させなくてはならない。人が知性を発達させるためには、それにふさわしい学習の環境が必要だ。これまでの学習方法──技術的な課題にしか対応できない場合が多い──によって、適応を要する課題に取り組もうとしても、期待するような結果は得られない。失望し、幻滅する羽目になるだろう。

 

●ここで注目すべきなのは、信頼関係の要素だ。信頼関係の欠如は、このチームが抱える最大の問題だったと言っても過言ではないだろう。彼らは、互いの信頼感が希薄なせいで有効なコミュニケーションが取れず、異なる仕事のスタイルを受け入れ合えずにいた。  まずは、人と人の間に信頼関係が生まれる条件とはなにかを理解しておくことが有益だろう。確定的な理論とまではいかなくても、なんらかの仮説をもっておいたほうがいい。私たちはその点に関して、学術的な研究結果をもとに一つの仮説をいだいている。

 

● 組織が大きな成果をあげるためにその人物の役割が重要なのだと理解し、その人を尊重すること。その人物が責任を果たせるだけの能力と技量をもっていると信じること。

 

● いずれにせよ、自分の矛盾した状態──片足をアクセルに、片足をブレーキに置いた状態──を知った人はたいてい、心の底から自己変革への強い欲求を感じるようになる。「有機体は自己組織化をおこない、人間という有機体は意味を組織化する」と言ったのは、心理学者のウィリアム・ペリーだ。人はえてして、自己組織化における際立った亀裂を目の前に突きつけられると、それを是正しようという意欲がわいてくるものなのだ。

 

● 本能レベルの欲求は、適応を要する変化へと人を突き動かす力をもっている。人にやる気とエネルギーを与えるのは、そういう最も深い欲求だ。しかし、そうやって最初の一歩を踏み出すだけでは、変革の旅は続けられない。実際にその旅を続けながら、変革の恩恵を味わい、それを通じてさらなる推進力を得ていく必要がある。その推進力を生み出すのが「頭脳とハート」、そして「手」である。

 

● 新しい選択肢を知った人は、新たなエネルギーと希望を感じはじめる。これまでと同じくらい安全で、しかもずっと広い世界で生きられるかもしれないと思えば、その可能性に魅了されて、変革をやり通そうという意欲をいだき続けられる。新しい考え方は新しい感じ方に道を開き、新しい感じ方は新しい考え方を促して、それにお墨つきを与える。免疫システムの中に閉じ込められていたエネルギーが解き放たれる結果、自信が強まり、人生をコントロールできているという感覚が増す。エネルギーが高まれば、行動も変わる。そして、ある種の行動は適応のプロセスをさらに推し進める。次に論じる第三の要素は、そうした行動に関わるもの

 

● 目標達成への意欲がどんなに強くても、思考と感情を変えるだけでは免疫機能を克服できない。「思考をともなわない知覚は、盲目であることと変わらない」と、哲学者のイマヌエル・カントは言った。この点に異論はない。しかし、私たちはこれにつけ加えたいことがある。行動をともなわない思考は、機能マヒに陥る、という点だ。新しい行動を取らなければ、変化は生み出せない。既存の免疫機能と衝突する行動を意識的に取ってはじめて──言ってみれば、実際に「手」を動かしてはじめて──変革が可能になる。これを避けていては、既存の行動パターンの土台にある思考様式の妥当性を検証できないから

 

● 学習のプロセスに周囲の人たちが関われば、自己変革モードから脱線せず、前に進み続けることが格段に容易になる。自分がどういう目標を目指しているかをみんなに知ってもらえば、いつでも助言や指摘を求められるだろう(自分の目標を知ってもらうために、自己変革を開始する際のアンケートに回答してもらうのも一つの方法だ)。こちらから尋ねなくても、周囲の人たちが進歩を目にとめて褒めてくれるかもしれない。なにが達成できていて、なにが達成できていないかを指摘してくれるかもしれない

 

● 積極的に能力向上に取り組むことにより、選択肢が広がり、コントロールできるものごとが増え、以前より高度な自由を得るようになったこと。そして、自己変革の目標に向けて前進し、あるいは目標を達成したこと。多くの場合は、当初期待していたよりも大きな成果が得られた。特定の問題の解決策を見いだしただけでなく、新たな知性が身について、それを仕事や私生活上のほかの課題や場面でも活用できるようになったのだ。

 

●問題を正しく定義することは、問題を解くことと同じくらい重要だという、アルバート・アインシュタインの言葉を以前紹介した。この段階で目指すべきなのは、アインシュタイン流に言えば、問題をいっそう明瞭に把握することだ。まず、本心から達成したいと願っている目標を達成できないという「問題」の本質を的確に理解したい。自分がどのように、片足をアクセルに、もう片足をブレーキに置いているかを詳しく知る必要がある。そういう状況を生み出しているメカニズムの全容を目の前に突きつけられれば、最初はつらいかもしれないが、強く好奇心がそそられるはずだ。

 

● どのような思考様式や世界認識にも死角はある。適応を要する課題を達成するのが難しいのは、そういう死角が原因だ。その死角に気づいてそれを乗り越えなければ、適応を成し遂げることなど不可能だ。  強力な固定観念は裏の目標と同様、普通の状況では死角になっていて目に見えない。それを見えるようにするためには、自分が固定観念と一体化していたり、それに支配されていたりする状態を脱し、固定観念と距離を置くこと、すなわち固定観念を「主体」から「客体」に転換することが必要とされる。それはとりもなおさず、知性のレベルを高めることを意味する。  強力な固定観念を表面に引きずり出せれば、その固定観念の囚人になっていたときよりはるかに免疫機能を克服しやすくなる。この作業をまったくのゼロからおこなうのは並大抵のことではないが、免疫システムの全容を描き出すために、とりわけ裏の目標を明らかにするためにここまで重ねてきた努力のおかげで、想像するよりずっと簡単にできるだろう

 

● 固定観念に強く支配されている人ほど、ほかの人を(その行動や心の内面を)うまく観察できない。適応を要する変化を成し遂げるうえでとくに重要なスキルの一つは、現実に起きているものごとをありのままに(できるだけ判断を加えずに)見聞きする技能だ。実際に起きていることを正しく認識することが変革の出発点

 

● ほかの人の反応を観察しているとき、人はそれに解釈を加えがちだ。しかし、そうやって解釈をおこないはじめると、実験が意味を失う。相手の言葉と行動だけに注意を払おう。たとえば、「『不愉快だ』と彼が言った」というのは事実だが、「彼は私に腹を立てていた」というのはあなたの解釈だ。質の高いデータとは、解釈を通した情報ではなく、直接観察された情報、要するに相手の言葉と行動(ボディランゲージも含む)であ

 

● 相手にノーと言っても人間関係が壊れるわけではないと気づくと、新たな可能性に目が開けた。相手からなにか要求されたときにノーと言うだけでなく、自分が本当に思っていることをこちらから言っても人間関係を壊さずにすむのか? 要するに、あえて対立をつくり出しても大丈夫なのか? 「あるとき、ベスという同僚に『その意見には反対だわ』と言ってみた。自分に試練を課しているという自覚はあった。ベスとの関係が壊れるかもしれないと思っていた……幸い、二人の関係にヒビは入らなかった。いまでは、相手の主張に反対のときはそう述べていいのだと思っている。感情的にならずに、自分の言いたいことをもっと堂々と言えるようになりたい。私は自分の意見をまだ十分にはっきりと主張していないと思う。(相手の意見に異を唱えるリスクより)本当の問題に触れないほうがリスクは大き

 

● 組織がほとんど解決不能に見える課題を解決するための最も強力な土台は、次の二種類の活動を統合することによって築かれる。一つは、グループ全体が、グループとしての改善目標を一つ選び、それを妨げている免疫システムの全容を描き出そうとする活動。もう一つは、メンバーの一人ひとりが、グループの改善目標と関わりのある個人レベルの改善目標を追求する活動だ。きわめて難しい課題に直面したグループは、延々と話し合うことに終始し、持続的な成果を生み出せない場合が多いが、そういう時間はもっと有効に活用できる。メンバーが個人レベルの免疫機能を克服するのを支援し、それと並行して、集団レベルの強力な固定観念がグループ全体の対話と行動のパターンにどのように根を張っているかを検討する機会を設けたら、どのような結果が生まれるだろう? そういう活動をおこなえば、〝変革をはばむ免疫機能〟のアプローチは、個人の学習と組織の成功を一体化させるための強力な仕組みになるかもしれない

 

● リーダーはどのように道を示すべきか?  あなたの組織で人材が絶え間なく成長していくようにするためには、どうすればいいのか? 本書で論じてきたような変革を──自分の才能を開花させるために必要な自己変革を──成し遂げるメンバーを増やすためには、どうすればいいのか?  本当の変化と成長を促したければ、リーダー個人の姿勢と組織文化が発達志向である必要がある。ひとことで言えば、「大人でも知性を発達させられる」と期待しているというメッセージをメンバーに向けて発信すべきだ。「私たちは誰でも成長し続けられる」「(組織として、部署として、チームとしての)目標を達成するためには、一人ひとりが成長を続ける必要がある」「仕事に対して最大限のやる気と喜びを感じるために、一人ひとりが成長を続けなくてはならない」……という具合

 

● このようなグループは快適とは限らない。リスクを背負って行動する勇気が要求されるからだ。それに、新しいものごとを学ぶと、恐怖がこみ上げてくるときもある。それでも、昔のやり方に戻りたいと言う人はほとんどいない。最初の段階で新しいアプローチに最も懐疑的だったり抵抗的だったりした人たちも例外ではない。自分をたえず成長させていくきっかけを与えてくれる学習の機会は、それくらい貴重なものなのだ。私たちはそういう環境に身を置くと、自分が生き生きして感じられ、組織をつくり変える過程を通じて自分自身をもつくり変えていく。  組織学習を基本的に業務と完全に切り離されたものとみなしている組織と、組織学習を日々の業務遂行の一部に組み込んでいる組織がある。あなたの職場は、この二つのパターンの間のどこに位置しているだろう

 

● 忍耐心がない人は発達志向の思考様式をいだけない、と言いたいわけではない。真理はその逆だ。発達志向の思考様式をいだくと、忍耐心が強まってくるのだ。せっかちになるのは、速く前に進むことが可能だと思うからだ。大人の知性の発達には時間がかかると理解している人は、すぐに結果が出なくても心配はいらないと思える。チューリップのつぼみがいずれきれいな花になり、イモムシがやがて美しいチョウになって空をはばたくと知っていれば、目の前のつぼみやイモムシにいらだちを感じることはない

 

● もっとも、発達志向に転換すると言っても、成長をただ見守るだけではない。メンバーの知性の発達を促すために、リーダーが取るべき大切な行動がある。つぼみを力ずくで開花させたり、イモムシを特訓してすぐに空を飛ばせたりすることはできないが、チューリップを豊かな土壌に植え、イモムシにみずみずしい葉っぱを与えることはできる。あなたが組織のメンバーに用意できる栄養は、本書でたびたび言及してきた「よい問題」だ。免疫マップが浮き彫りにする内面のせめぎ合いと、その根っこにある強力な固定観念を主体的に検討することにより、メンバーの思考パターンの変容が促される。  あなたは組織のメンバーの知性の発達に関して、目指している目標に見合った所要時間を覚悟している

 

● あなたの組織では、人々の重要な感情をテーブルの上に載せられているだろうか? それとも、感情はテーブルの下に隠されたままだろうか? 感情が表面に引き出されている場合は、その感情が個人レベルと集団レベルの学習を促進しているだろうか? あるいは、学習の妨げになっているだろうか

 

● ほとんどの人は、目的を明確に意識したうえで、体系的、継続的、主体的に内省を実践したことが一度もない。内省することが好きだと思っている人でさえ、そういう場合が多い。一般におこなわれている「内省」とは概して、単に時間を取ってものを考えるだけだったり、いくつかの設問に答える形で過去の経験を振り返るだけだったりする。あなたの場合はどうだろう?

 

●大人の知性の発達という新しいフロンティアに、子どもの知性の発達についての一世紀以上にわたる研究成果の多くがまだ輸入されていない。子どもの知性の発達に関する重要な発見の一つは、知性を発達させたければ試練と支援の組み合わせが欠かせないというものだ。ここで言う試練とは、いまいだいている世界認識の限界を思い知らされるような「よい問題」を突きつけられること。支援とは、それまで思っていたほど自分自身と世界のことを知っているわけではなかったと気づいて不安がこみ上げてきたとき、それに押しつぶされないように支えてもらえること。この二つの要素は、子どもが成長するために必要なだけでなく、大人が成長するためにも不可欠なものだ。 〝変革をはばむ免疫機能〟の診断・克服プロセスは、未達成の目標を「よい問題」に転換し、自己変革のために必要な学習を促す機会と言える。しかし、試練だけを持ち込んで、試練と向き合うときに感じる不安をやわらげてあげることをおこたれば、変革の取り組みは期待はずれに終わるだろう

 

● 変革に乗り出したばかりの部下が取る行動は未熟に見えるだろうが、その行動は勇気の産物だ。

 

● 試練と支援──この二つはセットで取り入れることが必要だ。あなたは、チームの全員が不安を感じずに試練に向き合うために、どの面でもっと安全性を高めるべきかわかっているだろうか

 


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