僕たちが見えてる世界は全く別物であるということ〜具体と抽象〜


 

 
 
 
以下のツイートを見て、即ポチって拝読した書籍。成功する起業家の共通項の1つに、『パターン認識』のチカラが強いというコラムを見たことがあり、どのようにすれば、このパターン認識力をあげていけるか、気にかけていた時でした。
 
 

 
 
 
””優れた起業家と I.Q.(知能指数) の間には「全く何の関係もない」ことが分かった。これも一般的には「I.Q.が高い=頭が良い=ビジネスが得意」と捉えられがちだが、実は優れた起業家に必要なものは I.Q.ではなく、パターン認識であることが明確になった。
 
パターン認識とは、失敗体験を素早く解析して同じ過ちを繰り返さない、成功体験であれば同じ成功が繰り返し発生するための仕組みを素早く作り上げるスキルである。優れた起業家には、この「パターン認識能力」が長けている人物が多いことが分かった。””
 
 
 
その仮説の1つが、抽象化するチカラではないかと考えていて、『具体と抽象』を使い分けることが出来る人というのは、このパターン認識力が高い人なのではないか、と思うのです。
 
 
””抽象化とは一言で表現すれば、「枝葉を切り捨てて幹を見ること」といえます。文字どおり、「特徴を抽出する」ということです。要は、さまざまな特徴や属性を持つ現実の事象のなかから、他のものと共通の特徴を抜き出して、ひとまとめにして扱うということです。””
 
 
””上流の仕事は、コンセプトを決めたり、全体の構成を決めたりする抽象度の高い内容なので、分割して進めるのは不可能です。これが下流に進むにつれて具体化され、(ピラミッドを下っていくイメージで)作業が飛躍的に増えていくとともに、作業分担も可能になっていきます。同時に、求められるスキルも変わってきて、「全体を見る」よりは個別の専門分野に特化して深い知識を活用する能力が求められていきます。””
 
 
””上流では個性が重要視され、「いかにとがらせるか?」が重要なため、多数決による意思決定はなじみません。意思決定は、多数の人間が 関われば関わるほど「無難」になっていくからです。  逆に下流の仕事は、大勢の人にわかりやすいように体系化・標準化され、また、どんな人が担当してもスムーズにいくように、各分野の専門家を含む多数の人が目を通す(管理する)必要が生じてくるのです””
 
””下流の仕事は多くの人が関わったほうがレベルが上がり、速く安くなりますが、上流の仕事の質は、むしろ関わった人の量に反比例します。人が関われば関わるほど品質は下がり、 凡庸 になっていくのが上流の仕事といえます。  
 
そのため、「下流の仕事のやり方」に慣れている人は、多人数で議論を繰り返して多数決による意思決定をすることが仕事の品質を上げるという価値観で仕事をしますが、これは上流側の抽象度の高い仕事には適していません。上流側の仕事では、口を出す人の数が増えれば増えるほど、焦点がぼけて角の丸くなった凡庸なものになっていくからです。””
 
上流の仕事だけが得意でも、下流の仕事だけが得意でもなく、両方が出来る、両方を理解できる人は、起業家として、シリアルアントレプレナーとして、成功確率が高そうな気がします。
 
 
””アナロジーとは類推のことで、異なる世界と世界のあいだに類似点を見つけて理解したり、新しいアイデアを発想したりするための思考法です。先述の「たとえ話」もアナロジーの応用の一つで、新しい世界を理解するために、すでによく知っている身近な世界の知識を応用することです””
 
””アナロジーとは、「抽象レベルのまね」です。具体レベルのまねは単なるパクリでも、抽象レベルでまねすれば「斬新なアイデア」となります。ここで重要になるのが、第5章で述べた「関係性」や「構造」の共通性に着目することです。  科学や技術的な発見、あるいはビジネスのアイデアなども多くは抽象レベルでのまね(アナロジー)から生まれています。たとえば活版印刷機はブドウ圧搾機から、回転寿司はビールのベルトコンベアから、あるいは生物からヒントを得た工業製品も数多くあります。  特許で守れるのは、抽象度が低い、直接的に類似性のあるもののみです。逆に抽象度が高いもの(関係性や構造)であれば、合法的に「盗み放題」です。大抵の人はそれが「盗み」であることにすら気づきません。””
 
 
これは、とても面白いなあと思いまして、確かに『具体レベル』の模倣は、『パクリ』と指摘されるものの、『抽象レベル』の模倣は、そうは受け止められないんですよね。
 
例えば、劇的成長をしているTikTokに対して、ある人は、ユーザー投稿型の動画サービス(15秒限定にしたところが凄いよね!程度)という意味合いでは、ユーチューブの類似サービスとして認識していたであろう。
 
しかし、以下で解説されているように、『従来型の評価経済プラットフォームとは根本的に異なる仕組みの導入に成功し、新規動画をたくさんの人に見てもらう(負担してもらう)一連の流れを実現したことがTikTokのイノベーション。』であるというのだ。
 
 
これは、おそらく、いや間違いなく、TikTokのプロダクトマネージャー的な人は、高次元(抽象度の高い次元)で、上述されたような哲学やコンセプト、競争戦略を、打ち立てていたのではないかと思われます。
 
 
””本書の目的は、読者に「わかる人」になってもらうことですが、あくまでもそれは最終目標で、一度読んだだけで習得できなかったとしても、「自分の見えていない世界が存在している」というイメージをつかんでもらえればよいと思います。  
 
周囲に「わけのわからないことを言っている」と感じる人はいませんか? もしいたとしたら、こんなふうに考えるだけでも、仕事のやり方や世の中の見方が変わってきます。 「もしかしたら、私には見えていない抽象概念の話をしているのではないか」 「表面的なことではなく、そこからつながっている本質的なことを語っているのではないか」””
 
””ここに本書で伝えたいもう一つのメッセージがあります。 「見えている」側に立ったときに、「見えていない相手」にどのように対処すべきか、ということです。これは「見えている人」(見えてしまった人)が持つ、共通かつ永遠の悩みといえます。  読者の皆さんも経験があるでしょう。だれにでも、経験や知識が豊富にあり、ある程度の哲学を確立している分野というものがあります。その分野になじみのない人たちの「未熟さ」を目の当たりにすることはないでしょうか。その人たちに説明を試みようとしても、相手が「ぽかんと」してしまうという状況です。あるいは、わかっているように見えて、じつはまったくわかっていないと感じるような状況です。  
 
そうした状況は、世の中にはたくさん転がっています。抽象度が高ければ高いほど、一部の人にしか理解してもらえません。””
 
””高い抽象レベルの視点を持っている人ほど、一見異なる事象が「同じ」に見え、抽象度が低い視点の人ほどすべてが「違って」見えます。したがって抽象化して考えるためにはまず、「共通点はないか」と考えてみることが重要です。当然ここでいう共通点は「抽象度の高い共通点」です。  
 
このような思考回路の障害になるものは何でしょうか?   
 
その最大のものは、「自分だけが特別である」「自分の仕事や組織や業界が特殊である」という考えです。人間は他人の成功例や失敗例を見ても「あれは自分とは違うから……」と考えがちで、他人に自分の話を一般化されることを嫌う傾向があるようです。””
 
僕自身は、まだまだ、世の中を抽象度高く観察できているとは言い難い状況にありますが、強く意識して、世界と対峙していきたいと意気揚々です。
 
””とくに経験した世界が狭ければ狭いほど、他の世界のことがわからないにもかかわらず、自分の置かれた状況が特殊であると考える傾向があります。多種多様な経験をすればするほど、「ここの部分は違うが、ここの部分は同じだ」というふうに共通部分にも目が向けられるようになってきます””
 
””多種多様な経験を積むことはもちろんですが、本を読んだり映画を見たり、芸術を鑑賞することによって実際には経験したことのないことを疑似経験することで、視野を広げることができます。そうすれば、「一見異なるものの共通点を探す」ことができるようになり、やがてそれは無意識の癖のようになっていきます。”” 
 
 
 
聴くだけでなく、見るだけでなく、考えるだけでなく、行動していくことに徹底的に拘っていきたい。どのような成果を手にしたいかを決めてから、聴いて見て考えて行動していきたい。人生は愉しい。
 
 
 
百聞は一見に如かず
百見は一考に如かず
百考は一行に如かず
百行は一果(効)に如かず
百果(効)は一幸に如かず
百幸は一皇に如かず
 
 
 
 
 
 
 
 
【目次】
●序章 抽象化なくして生きられない 
●第1章 数と言葉 
●第2章 デフォルメ 
●第3章 精神世界と物理世界 
●第4章 法則とパターン認識 
●第5章 関係性と構造 
●第6章 往復運動 
●第7章 相対的 
●第8章 本質 
●第9章 自由度 
●第10章 価値観 
●第11章 量と質 
●第12章 二者択一と二項対立 
●第13章 ベクトル 
●第14章 アナロジー 
●第15章 階層 
●第16章 バイアス 
●第17章 理想と現実 
●第18章 マジックミラー 
●第19章 一方通行 
●第20章 共通と相違 
●終章 抽象化だけでは生きにくい