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【ご挨拶】2023年振り返り+本ベスト10

2024年、明けましておめでとうございます!

2023年は、「ボンバイエ」をテーマにしていました。

『ボンバイエ!』、その心は、「元氣溌剌、恥をかくほど馬鹿になって、道を創っていく」であります。「ボンバイエ」とは、コンゴのリンガラ語で「奴をやっちまえ!」という意味合いらしいです。自分的解釈として「上っ面の恐れ≒奴」を退治して、恥ずかしげもなく夢みたいな大言壮語を掲げ、チャレンジを続けていく、そういう1年としたいと考えました。

1年を振り返ってみて、よく意識してきたことは、勢いのある強烈なエネルギーよりも、優しくて心温まるエネルギーを息を吸うように使いこなせている臨場感を持ち続けること、でした。

当初、ボンバイエ的な元氣とは、前者的なエネルギーをイメージしていたのですが、後者的なエネルギーの方が、圧倒的に広く深く、つまりはその総量を多く活かせるのではないかと直感し、より自分の根源的な力に向き合って来ました。

良いことも悪いこともあるけれど、いちいち感情に左右されることがない、いつも上機嫌で、生命力に満ち溢れていて、常に生き生きとしている、恥かくことを恐れず、とてつもなくクレイジーなことに臆面もなく挑戦し続け、振り返ると道が出来ていた、というような感じですね。

自分の中で起きてきた変化の過程を、丁寧に説明することは別の機会に譲るとして、結果的に獲得することが出来た新たなパラダイムは、愛や知恵のような無限のエネルギーに、自分(たち)は既にアクセス出来ているんだ、という受容的、涅槃的感覚でした。(あくまで入り口がチラッと見えた程度の感覚で、まだまだ道半ば、オレンジ=合理的世界観から、グリーン=多元的世界観、ティール=統合的世界観を行ったり来たりしながら探求を続けている感じですかね)

逆説的ではあるのですが、自分が欠落していると感じていることこそが、「自分の中に在る」と捉える事が出来るようになって来ている感じですね。

そういえば、2023年は、保育園に通っている娘さんから、沢山(10回くらい?)風邪を貰い、咳、鼻詰まり、鼻水、微熱と、慢性的に風邪に罹って、人生で最も体調不良な日々を過ごしていたのですが、なんというかまさに逆説的に、健康の重要性を痛感した1年でして、ヘルスコーチを付け、日常的に飲んでいた酒を減らし、睡眠力も上がるし、ストレッチ、自重筋トレ、ランニングと生涯に渡って、極めて重要な習慣を身につけられた1年でもありました。

そして身体のコンディション以上に、心、感性、精神性と向き合い続けた1年だったというのが昨年のハイライトな気がしています。

思考(理性)優位で、心(感性)や肚(本能)的な機能を置いてけぼりにしながら、未来のことばかりに囚われて生きがちであった自分が、自覚的に知覚しようとして来なかった認知機能と向き合い、開拓し始めることが出来ました。

年初、にわかに生成AIの学習に没頭しながら、多様なテクノロジーのコンバージェンス(収斂)によって、プチシンギュラリティ的な世界に近付いていく最中にいるようで、心躍る日々を過ごしながらも、同時に、どんなに技術が進展しようとも「変わらないこと」に出会い学ぶ機会に恵まれたことで、人生をより立体的に過ごすことが出来るようになっています。

というわけで、今年のテーマは、「充足と渇望を共に諦めない」にしようと思います。

これは、自分自身が、そういう生き方をしていこうというだけではなくて、身近な仲間たちに対して、社会に対して、より満たされた感覚(充足感)を感じてもらえるよう貢献していくということと、世界に希望(渇望)を持って生きてもらえるように貢献する、という宣言でもあります。

地球や世界平和に貢献するという大言壮語を掲げながらも、まずは改めて直接的に関係する人たちを中心に、豊かさ、歓び、感動を共有、共感、共鳴していくことを楽しんでいきます。対面同席五百生。本年も、よろしくお願いいたします!

以下、恒例の2023年に読んだ本ベスト10を紹介します。引き続き、色々な本たちと出会っていきたいと思います。

10位、理念経営2.0 ―― 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ

””理念経営1・0が創業者や組織の「答え=正解」を示すものだったのだとすれば、理念経営2・0の核心は「問い」にあるということです。 ですから、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスなどの企業理念がすぐれたものであるかどうかは、それが会社のすべてのステークホルダー、とりわけ社員に対する「問い」として機能するかどうかにかかっています。 もしそこから、働く人たちの主体的な語りや探究が生み出されているなら、その企業理念はまちがいなく会社の経営資源になってくれています。これからの経営者に求められているのは、そうした「みんなの物語」が生まれてくるための「問う仕組み」をデザインすること””

9位、THE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ

””ノーブル・パーパスは「パーパスフルな人間らしい組織」という枠組みの頂点に位置する。そして中央に位置するのは従業員だ。なぜならビジネスの 秘訣 は、最高のメンバーが顧客にとって最高の仕事をすることにより、最高の結果につなげることだからである。経済理論で説かれてきたように従業員や労働をただの投入物として考えるなんてことはできないし、そのように考えるべきでもない。誰も投入物などにはなりたくない。「最高の仕事」は、自分が活躍できる職場環境において、「人的資本」ではなくひとりの人間として扱われていると感じるところから始まるのだ。  私が提唱する概念図では、従業員こそハート・オブ・ビジネスと見なし、中心に据えている。従業員は社内の仲間のみならず会社のすべてのステークホルダー──顧客、取引先、地域のコミュニティ、株主──と思いやりに満ちた本物の関係を築き育んでいくことで、会社のパーパスに貢献するだけでなく、各ステークホルダーに最高の結果を届ける存在で~””

8位、正負の法則、The Breakthrough Experience

””価値観は空虚感のようなかけている何かがあるという感覚に基づいています。しかし質量保存の法則によれば欠けたり失われたりするものは何もないので、ただその存在する形に気づいていないだけです。あなたはそれが欠けていると思い込んでいるので、それを求めているのです。手に入れる過程を後押ししてくれるなら良いものだと考え、その邪魔をするなら何でも悪いものということになるのです。””

7位、直感と論理をつなぐVISION DRIVEN

””端的に言えば、彼らは「本当に価値あるものは、妄想からしか生まれない」ということを経験的に知っているからである。だからこそ、彼らはむしろ、あえて現実からかけ離れたことを言おうと、つねに意識してさえいるようだった。 この点を理解するうえで欠かせないのが、MITのダニエル・キム教授が提唱した「創造的緊張(Creative Tension)」という概念だ。人がなんらかの創造性を発揮する際には、「妄想と現実とのギャップ」を認識することが欠かせない。個人が自らの関心に基づくビジョンを明確にして、さらに、そのビジョンと現状とのあいだにある距離(ギャップ) を正面から受け入れたときに初めて、そのギャップを埋めようとするモチベーションが個人のなかに生まれる。このような緊張状態が生まれない限り、人はクリエイティブなモードにはならないのである。””

6位、insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力

””しかし自己認識の道に真の意味での「終わり」がないという事実は、その旅を極めて魅力的なものにしてもいる。どれほどのインサイトを手にしても、つねにまだ先がある。それを誰より理解しているのが私たちのユニコーンだ。ユニコーンたちは自己認識を「自分のあり方」だと見なし、いつも高い優先順位を置いている。そしてユニコーンでない私たちは、どの程度の自己認識から始めようと、誰もが人生を通してインサイトを広め、深め続けることができる。  そのプロセスに取り組むなかで、驚くことや、ありがたみを感じることや、難題を投げかけてくる物事に出合うだろう。そして新たなインサイトを手にするたびに、「じゃあ次はどうする?」という問いがやってくる。本書の冒頭で、私は自己認識を「二一世紀のメタスキル」と呼んだ──自己認識とは、充実した人生にとって必要条件ではあるが、十分条件ではないということだ。””

5位、WEB3時代のAI戦略 社会課題解決を成長ビジネスに変える正のスパイラル

””たとえば、AIによるディープフェイクが多産される未来においては、もう人間の知覚では、その映像、画像などのコンテンツが、本物の人間によるものかどうかはは判別できないだろうと確信している。””

4位『THE ART OF FINDING DESIRE: MONEY, LOVE, AND CAREER BY LUKE BURGESS~欲望の見つけ方~』

””自分の人生の終わりに際して、追いかけるチャンスを逃したことにいちばん後悔するのは、濃い欲望だと思う。手に入れようと没頭したことに、きっと満足を覚えるだろう欲望だ。私が疲れ果てて死ぬとすれば──誰でも最後はそうなる──、それは薄い欲望を追いかけたからではない、濃い欲望をつかみ、何も残らなくなるまでつかみ続けたからだ。  破滅的な模倣のサイクルは、自分の欲望の絶対的な優位性を確信したときに動きだす。それを満たすためなら、ほかの欲望を犠牲にするのをいとわない。しかし、欲望のポジティブなサイクルのなかでは、人は自分の欲望と同じように他人の欲望にも敬意を払う。さらに、ほかの人がもっとも大切な欲望を達成できるように積極的に協力する。ポジティブなサイクルにおいては、みんながまわりの人の濃い欲望を実現しようと何らかの形で手助けする。””

3位、ローマ人の物語

「いかなる事業も、それに参加する全員が、内容はそれぞれちがったとしても、いずれも自分にとって利益になると納得しないかぎり成功できないし、その成功を永続させることもできない」 この見方は、参加する全員の間で妥協が成立する、ということとはちがう。妥協とは、おり合いをつけることであり、参加者全員が歩み寄って一致点(平たく言えば落としどころ)を見つけ、それをその事業の目標と定めることである。だが、そうした場合は、参加者はいずれも、何らかの不満をいだく結果に終りやすい。妥協の産物、という言い方も、人間世界のこの現実を突いたものだろう。マキアヴェッリくらい、この意味での妥協を、非生産的であるとして嫌った人もいなかったのである。

2位、万物の歴史、ケン・ウィルバー

””進化はある面では自己超越プロセスなのです。それは常に、先行していたものを乗り越えていきます。で、その新奇さ、出現、創造性において新しいものが生じ、新しいパターンが展開し、新しいホルンが生まれるのです。この思いもかけないプロセスは、断片から結合物を、堆積物から全体を構築します。コスモスは、創造的発生の量子的跳躍において展開していくようです。””

1位、ヨーガ・ヴァーシシュタ -至高の真我-

””「ラーマよ。ただ心だけがこのすべて(世界の現れ)になる。そして心が癒されたとき、世界の現れもまた癒されるのだ。この心が思考機能によって身体と呼ばれるものを魔法のように生み出す。心が機能しないとき、身体のようなものは存在しない。それゆえ「対象物を知覚する」という心理的な病の治療が、この世界で最高の治療なのだ。心は妄想を起こし、誕生と死という観念を生み出す。そして、それ自身が生んだ想念によって心は束縛され、それから解放されるのだ」””

P.S. 2022年2021年2020年2019年2018年2017年2016年のベスト本は、こちらからどうぞ。

ヨーガ・ヴァーシシュタ -至高の真我-

2023年を振り返って、この1年間に向き合ってきたことが、そこかしこに散りばめられており、このタイミングで、自分自身に最も影響を与えた書籍を唯一だけ選ぶとしたら、これを選びたい。

実は過去に、数回読み始めてみたものの、心に響かないというか、読み進んで行けないという経験をしている書籍でした。しかし、2023年に出会った学びの場のおかげで、面白いほど心に染み入ることになり、自分の感性や知性に広がりを感じました。まだまだ探究の道半ばではありますが、この世界の、宇宙の真理に思いを馳せていきたいと思います。

””この聖典の中で何度も繰り返される「カーカターリーヤ」という表現がある。  カラスが椰子の木に降り立った瞬間に、椰子の実が落ちた。時間と空間の中では、この二つの出来事は関係しているように見えるが、実際には何の因果関係もない。  人生とはそのようなものだ。世界創造とはそのようなものなのだ。だが、自分でつくり出した論理の罠にとらわれた心は、「なぜ?」と尋ね、自分を満足させるために「なぜなら」と「~ゆえに」を考案したうえで、知的な心を悩ませる不都合な質問を都合よく無視するのだ。  賢者ヴァシシュタは、心を直接観ることを要求する。その動き、その観念、その論法、推測した原因と投影した結果、観られる対象、観る者、観ること──そして、それらが分割不可能な「一なる無限の意識」だと認識することを要求する。  それがこの聖典の特異性だ。それゆえ、この聖典は至高の真理であると自ら宣言するのだ。””

””ラーマ は語り続けた。 心が渇望で覆われると、無知の暗闇の中で無数の過ちを犯します。この渇望は、優しさや穏やかさといった善良で高尚な心の質を枯渇させ、私を無情で残酷な人間にしてしまいます。そして、その無知の暗闇の中で、渇望はさまざまな姿をとって、悪魔のように舞い踊るのです。 この渇望を抑制しようと色々な方法を試みるのですが、一陣の風が一本のわらを吹き飛ばすように、それは一瞬のうちに私を圧倒し、堕落させてしまいます。**無欲や無執着のような質を伸ばそうと願うのですが、ネズミが糸を噛み切るように、どんな希望も渇望が断ち切ってしまいます。それどころか、私は渇望という輪の中にとらわれ、救われようもなく回り続けるのです。**網にとらわれた鳥のように、たとえ羽があっても真我の知識という目的地へ羽ばたくことさえできません。たとえ甘露を飲み干したとしても、渇望が癒されることはけっしてないのです。””

””**この渇望の特徴は、方向性を持たないことです。それは狂った馬のように、私を今、この方向へ向かわせたかと思えば、次の瞬間、別の方向に向かわせます。**そして、私たちの目の前に、息子、友人、妻、その他の人間関係という広大な網の目を広げるのです。 英雄でありながら、渇望は私を臆病者にし、目がありながら、渇望は私を盲目にし、喜びにあふれても、渇望は私を惨めにしてしまいます。渇望は恐るべき悪鬼です。束縛と不幸の原因は、この恐るべき鬼である渇望にあるのです。それは人の心を破壊し、妄想を引き起こします。この鬼に取り憑かれ、人は手にとどく快楽さえ楽しめずにいます。幸福を得るために渇望しているはずなのに、この渇望は幸福も人生の充実ももたらしません。それどころか、それはあらゆる不運や無駄な努力に私を巻き込みます。幸運と不運を上演し続ける人生という舞台の上でさえ、この渇望はベテラン俳優のように善良で高尚な演技もできず、ことあるごとに敗北と挫折に苦しみます。それにもかかわらず、それは舞台の上で踊ることをあきらめないのです!””

そうなんですよね。僕自身の半生は、この手の渇望に塗れ狂って来たとも言えます。ただし、この渇望感のようなものによって高いエネルギーを燃え滾らせることが出来ているため違和感がありながらも手放すことが出来ずに生きてきたようにも感じます。

長らく不安定だった会社が、パートナーの皆さんの力のおかげもあり、比較的安定期にある中で、娘という尊い存在と触れ合うことで、ただただ満たされることのない渇望感によってエネルギーを漲らせ続ける人生から離れられそう(離れたい)と感じる日が続きました。

””もう一人の解脱の門番は、「**満足すること」**である。満足の甘露を飲み干した人は、感覚的快楽を求めようとしない。この世のいかなる喜びも、すべての罪を拭い去る「満足」ほど快いものではない。  満足とは何か? **求めても得られないものへの願望を放棄し、求めずして得たものに満足すること、そのために得意がることや憂鬱になることもない──それが満足である。自己に満足しないかぎり、人は悲しみに支配されてしまう。**満足が生まれると、清らかなハートが花開く。何も所有せずに満足する人は、世界を所有するのだ。””

結果的に、自身に満足することが出来ず、「もっともっと」と足りないものを埋め続けようとしている自分に辟易しながらも、ふとした瞬間に、すでに僕自身はとてつもなく満たされているのではないか、と感じるようになって来ました。同時に、満たされると、頑張る理由が見つからないというか安定志向に陥っていくようも感じました。

””満足は最大の報酬だ。サットサンガは目的地までの旅路の最高の同伴者だ。探究精神はそれ自体が偉大な叡知であり、自己制御は無上の幸福なのだ。もしあなたがこれら四つすべてにたずさわれないなら、一つだけでも実行しなさい。それらの内の一つを誠実に修練すれば、他の三つもあなたの内に見いだされるだろう。そして、自然とあなたの内に最高の叡知が湧き起こるだろう。これらの高尚な特質の助けを借りて、心という野生の象を飼いならすまでは、たとえあなたが神や半神半人になったとしても、「至高なるもの」に近づくことはできない。””

それで良いじゃないか、という(自分の内外からの)声に右往左往しながらも、僕自身は、今このタイミングの僕自身は、程よい充足感をしっかりと感じ、同時に、自分のためにも、他者(ひと)のためにも、やりたいことをもっとやっていきたいと、純粋に渇望し熱望しているのです。一見、充足と渇望は両立できなさそうですが、これをやっていきたいと決意しています。

””解脱(モークシャ)とは、すべての精神的条件づけ(ヴァーサナー)を完全に、跡形も残さず棄て去ることだ。精神的条件づけには二種類ある。純粋なものと不純なものだ。不純なものは再誕生の原因となる。純粋なものは人を再誕生から解放する。不純なものとは、無知と自我意識だ。これが再誕生という木の種子なのだ。””

””去世からもたらされた精神的傾向には二種類ある──純粋なものと不純なものだ。純粋なものはあなたを解脱に導き、不純なものは困難や問題を招く。あなたは生命力のない物質的身体ではなく、意識そのものなのだ。あなたは自分以外の何ものからも行為をするよう駆り立てられてはいない。それゆえ、あなたには不純なものよりも純粋な潜在的傾向を強めることができるという自由があるのだ。 「永遠の善へと至る道を、たゆまず歩き続けなさい」と聖者たちは主張している。 己 の試みの成果は自己努力の強烈さに相応し、運命も神もそれをくつがえせないことを賢明な探究者は知っている。実際、何であれ人がこの世で得るものは、そのような自己努力の結果なのだ。悲しみに沈んでいるとき、人々は「それはあなたの運命なのだからしかたありません」と言って慰める。それでも、人は旅をすることによって外国へ行き、食べ物を口にすることによって空腹を満たすのであって、運命によってではない。これは明白なことだ。誰も運命のようなものを見たことはない。だが、いかに(善または悪の)行為が(善または悪の)結果をもたらすかということは誰もが体験している。””

純粋に、自分自身が望む、したいこと、やりたいことに順々に、深い充足感と、健全な渇望感に満たされながら、自然体のエネルギーを滾らせ、自分と他人(社会)の喜びが重なることに命を使っていきたいと思います。力まず、肩肘張らず、無理なく、ゆるく楽しく。

””「人は心以外の何ものでもない。心は全世界だ。心は大気圏、空、大地、風だ。心は偉大だ。心が愚か者だけが愚か者と呼ばれる。身体で死んで知性が失われたとき、その遺体を愚か者と呼ぶ人はいない。心が見るとき眼が生じる。心が聞くとき耳が生じる。他の感覚器官においてもそれは同様だ。それらをつくり出すのは心なのだ」””

””「この空っぽの物質的身体のどこに「私」と呼ばれるものが存在するというのか? ラーマよ。実際は「私」や「私のもの」などといった概念はまったく存在しない。ただ一なる真我だけが真理なのだ」””

””「ラーマよ。ただ心だけがこのすべて(世界の現れ)になる。そして心が癒されたとき、世界の現れもまた癒されるのだ。この心が思考機能によって身体と呼ばれるものを魔法のように生み出す。心が機能しないとき、身体のようなものは存在しない。それゆえ「対象物を知覚する」という心理的な病の治療が、この世界で最高の治療なのだ。心は妄想を起こし、誕生と死という観念を生み出す。そして、それ自身が生んだ想念によって心は束縛され、それから解放されるのだ」””

””意識が存在するゆえに、世界は存在する。世界は意識の身体なのだ。そこには何の分離も、相違も、区別もない。それゆえ、宇宙は実在だとも非実在だとも言える。意識の本質が宇宙そのものの本質であるため、宇宙は実在だと言える。また、宇宙は意識から独立して存在するわけではないため、宇宙は非実在だとも言えるのだ。  だが、「宇宙が非実在だから宇宙の原因である意識もまた非実在だ」とは言えない。そのような言明はただの無意味な言葉の集まりでしかない。なぜなら、それは私たちの体験に反するうえ、意識の存在を否定することはできないからだ。””

””解脱とは、そのような宇宙の完全な非存在性を認識することです。これは、単に自我と宇宙の存在を否定することとは違います! 後者は半分の知識でしかありません。解脱とは、このすべてが純粋意識であると認識することなのです。””

””それは両極の中間にあり、その中間自体も両極面を持っている。全宇宙は意識の戯れの投影だ。この宇宙の多様性のように、それはそれ自体の中で分割されているように見えるが、実は分割されていない。””

万物の歴史、ケン・ウィルバー

『万物の歴史』は、西洋と東洋の哲学、科学、宗教の幅広い知識体系を統合した、思想家ケン・ウィルバーによる書籍。個人/集団の内面/外面という「四象限」の区別を用いて人類を含む万物の歩みをたどり、これから人類が進むべき道筋を示してくれます。

ウィルバーの「四象限」の概念は、現代ビジネスにおける「ティール組織」の理論にも影響を与えていて、彼のインテグラル理論は、今も新鮮な示唆を与え、僕たちの時代における様々な問題――性別の役割、環境問題、多文化主義など――への理解を深めさせてくれます。

著者は、「無遠近法的」な視点で、異なる遠近法すべてを統合し、それぞれの相対性を認めつつ、より良い選択を可能にしています。しかし、この遠近法の相対性に集中しすぎると、意志と判断の麻痺に陥る危険性も指摘しています。

事業家、投資家、冒険家として、僕はこれまで多様な視点を統合し、バランスの取れた意思決定を目指してきました。ウィルバーの理論は、驚くほど幅広い知識体系を背景に置きつつ、異なる視点を認識し、統合することで、より効果的な意思決定に寄与してくれる感じがしています。

本書は、現代社会のリーダーにとって必読の書であると感じました。ウィルバーの思想に触れることで、私たちは、より包括的な視野を持ち、新たな可能性を見出せるのではないかな、と。僕自身、この本から得た知見を活用し、持続可能な未来への道を探求していきたいと思います。

””「われわれの人生における宇宙的な問いに対してだけでなく、またわれわれの時代の混乱させ、人心を不安にさせる多くのこと―-とくに男と女の変わりゆく役割、環境破壊の進行、多様性と多文化主義、抑圧された記憶と幼児の性的虐待、および情報時代における『インターネット』の役割――にも非常にオリジナルな照明を当ててくれる」(T・シュワルツによる序文)””

””質問者:あなたは世界の偉大な霊的伝統は2つの大きな非常に異なる陣営に分かれていることを発見されましたね

ウィルバー:ええ「聖なるもの」を理解する-東と西さらに言えば北と南の-様々な試みを調べてみると、そこには私が「上昇」と「下降」と呼ぶ二つの非常に種類の異なる霊性が見出されます。上昇の道は純粋に超越的で来世的です。一般に禁欲的、苦行的、ヨーガ行的であり、身体、五感、セクシャリティ、地上、肉欲の価値を減じるか、または否定する否定すらする傾向があります。それは、救済をこの世のものではない王国に求めます。顕現または輪廻の世界を、悪または錯覚に基づくものとみなします。で、車輪から完全に降りようと努めるわけです。実際、上昇論者の目には、どんな種類の下降も錯覚に基づくものもあるいは悪とさえ見えがちなのです。上昇の道は「一者」を賛美します。「多者」ではなく。「形」ではなく「空」を。「地」ではなく「天」の栄光を讃えるのです。 「下降」の道はまさにその反対を勧めます。徹底的に現世的で、「多者」を賛美します。「一者」ではなく。「地」、身体、五感、そしてしばしばセクシャリティを褒め称えます。「霊(スピリット)」を感覚世界、「ガイア」顕現権限と同一視すらし、あらゆる日の出、あらゆる月の出に、人が常に望みうる「霊(スピリット)」の全てを見るのです。それは純粋に内在的で、超越的ないかなるものも嫌悪します。事実、下降論者の目には、いかなる種類の上昇も悪に見えるのです””

””進化はある面では自己超越プロセスなのです。それは常に、先行していたものを乗り越えていきます。で、その新奇さ、出現、創造性において新しいものが生じ、新しいパターンが展開し、新しいホルンが生まれるのです。この思いもかけないプロセスは、断片から結合物を、堆積物から全体を構築します。コスモスは、創造的発生の量子的跳躍において展開していくようです。””

””例えば、細胞はその分子成分を超える、または乗り越えるが、またそれらを含むのです、明らかに。分子は原子を超えて含み、原子は粒子を超えて含む。ポイントは、全てのフォローは部分/全体なので、全体性は超越するが、しかし部分は包含されるということです。この超越において、寄せ集めが全体へと変換されます。包含において、部分は等しく擁護され、大事にされます。それぞれを断片であることの重荷から免れさせる共同体および分かち合われる空間の中で結びつけられて。 そう、進化は超えて含み、超えて含むプロセスです。そしてこれはまさに「働いている霊」の核心、まさに進化の衝動の秘密へと通じはじめるのです。””

””もちろん、これは「より高い」世界観がそれ自体の問題を持たないことを意味するのではありません。まさにその逆です。超越の可能性があるところではどこでもまさに同じ理由で抑圧の可能性があるのですより高いものはただ超えて含むだけでなく超えて抑え排除し阻害し分離するかもしれないのですそして世界観の出現についていく際私たちは歴史的家庭で起き今のは起きている抑圧と分離の可能性を絶えず監視していかなければなりません要点は超越できる動物はまた抑圧もできるどのレベルでもということです””

””『もしあなたが深層に気づいていれば、あなた自身および他の人々のなかの深層を真実性、誠実、信頼性によって知ることになります。肝要な点は、深層への道はごまかしによってさえぎられ、欺瞞によってさえぎられるということです。そのため、あなたは内面を認知するやいなや、内面にアプローチする上での主な障害物に直面しなければなりません。欺瞞とごまかしに直面しなければならないわけです。””

””質問者:あなたはこの自由を「無遠近法的(aperspectival)」と呼んでいますね。

ウィルバー:そうです。ジーン・ゲプサーの用語ですが。ヴィジョン・ロジックは異なった遠近法〔ここは視点と訳した方が良いと思うので、以下視点と括弧書きします〕すべてを合計しており、ですからどれか一つを他に対して自動的に特別扱いはしません。つまり、無遠近法的〔非視点的〕なのです。が、異なった遠近法〔視点〕すべてを考慮しはじめるにつれて、非常に眩惑的、非常に無遠近法的、非常に無方向的になります。そしてあなたはヴィジョン・ロジックのこうした新しい無遠近法的〔非視点的〕な意識のなかでひどく道に迷う可能性があるのです。しかし・・・すべての遠近法〔視点〕は相対的だということは、それでもあるものが他のものよりいつも相対的に良いということを妨げるものではないのです!・・・しかし、そのことを忘れ、たんに遠近法〔視点〕の相対性に集中すると、無遠近法的狂気、意志と判断の眩惑的麻痺に陥ります。「それはすべて相対的である。それゆえより良いもより悪いもなく、そしてどの姿勢も他より良くはない」というわけです。その姿勢自体が代わりのものより良いと主張しているという事実を見逃しているのです―標準的遂行矛盾です。””

ローマ人の物語

2023年、人生初のイタリアに行くことを決めて、せっかくの旅路をより愉しむために読むことを決めた大著。興味はありつつ、あまりにも長編が多い歴史小説の代表策の1つである本書は、噂に違わぬ分量で、実はまだ全てを読み切れていません苦笑

しかしながら、塩野 七生さんの書く文章は驚くほど読みやすく(内容は非常に濃いです)、そして、ただただ面白く惹き込まれました。

西はスペインやイギリス、東はイラクまで覇権を広げイタリア半島を統一したローマ帝国の中心地である、そういった背景を知った上で、トレビの泉やフォロ・ロマーノを始めとした名所を数多く見て周れたことは、素晴らしい体験になりました。

ローマの歴史は,今を生きる僕達にとっても重要な示唆に富んでいました。組織をいかに発展させるのか,そのために人財をどのように活かし得るのか,などなど.

“平衡感覚とは、互いに矛盾する両極にあることに、中間点に腰をすえることではないと思う。 両極の間の行き来をくり返しつつ、しばしば一方の極に接近する場合もありつつ、問題の解決により適した一点を探し求めるという、永遠の移動行為ではなかろうか。 ””

例外的条件を除き、極めて高度な何かを成し遂げている人々の共通項について考えてみて。 およそ指数関数的に増える変数を前にして、いかに自らの意志で、理想を実現するか。 およそ人間の処理能力では精緻な判断が下せないような状況において(計算量の複雑性)、偶発性に委ねず、必然的に成果を出すためには、どうすれば良いか。

再現性高く、偉大な成果を出し続ける人間は、上記のような平衡感覚を持っているのではないか、という学び。

この感覚は、ほとんどの場合、先天的ではなく、後天的に習得するものであり、故に、極めて強固な意志さえあれば、大抵のことは、何とかなる。 その「何とかなる感」すなわち、「根拠はないが何とかしてやる感」こそが、偉大な成果を生み出す人々の共通項の一つではないか。

「いかなる事業も、それに参加する全員が、内容はそれぞれちがったとしても、いずれも自分にとって利益になると納得しないかぎり成功できないし、その成功を永続させることもできない」 この見方は、参加する全員の間で妥協が成立する、ということとはちがう。妥協とは、おり合いをつけることであり、参加者全員が歩み寄って一致点(平たく言えば落としどころ)を見つけ、それをその事業の目標と定めることである。だが、そうした場合は、参加者はいずれも、何らかの不満をいだく結果に終りやすい。妥協の産物、という言い方も、人間世界のこの現実を突いたものだろう。マキアヴェッリくらい、この意味での妥協を、非生産的であるとして嫌った人もいなかったのである。

Web3時代のAI戦略 社会課題解決を成長ビジネスに変える正のスパイラル

ChatGPT、生成AIの登場によって、指数関数的な技術的進化が続き、遠くない未来に、世界が、社会が、どのようにステージを変えていくのか、に改めて興味関心を持っている中で、出会った本書。

たとえば、AIによるディープフェイクが多産される未来においては、もう人間の知覚では、その映像、画像などのコンテンツが、本物の人間によるものかどうかはは判別できないだろうと確信している。

そのような世界を目前にして、ただただ未来を憂いているよりも、テクノロジーと共に、どう共創していけるか、共進化していけるか、日々問い続けている中で、数多のAI読本の中でも、今の自分にとっては、非常に共感できる内容が山盛りでございました。

本書を読むことで、AIのぐるぐるモデルによる指数関数的な成長や、社会課題解決に必要なBASICSフレームワークやMLOpsなど、AIを活用した社会課題解決に取り組む上での重要なポイントを学ぶことができ、また、日本企業のAI導入の遅れや問題点も明確になり、AIを活用した社会課題解決に取り組む上での課題や問題解決のためのヒントを得ることができました。

””答えを探るべく我々は、Web3さらには、国内外でのAIやDXを活用した社会課題解決の事例をサーベイした。浮かび上がってきたのが、5つの要素を組み合わせた社会課題解決のフレームワークである「BASICs」である。  BASICsは、Behavioral change(行動変容)、Accountability(効果の可視化)、Scale & Continuous improvement(規模の追求と継続的改良)、Income with profit(持続できる経済性)、Cultivate data value(データ価値の創出)の頭文字を取ったものである。いずれもAIを使った社会課題解決に不可欠の要素だ。最後の「s」はBASICの活用によって、カスタマーサクセス(Customer Suucess)を実現させていきたい、そして最終的に社会の成功(Society Success)に結び付けたいという思いを込めたものだ。  行動変容を最初に持ってきたのは、意思の力が何よりも重要だと考えるからだ。現在のAIは一度利用が始まると、あとは自分で勝手にどんどん賢くなっていく。そこに人間の持つ倫理や道徳、良心が反映される余地は少ない。「社会課題を解決するためにAIを使うのだ」という強い意思がなければ、気がつかないうちにAIに使われる側に回ってしまいかね~””

AIやWeb3を学びながら感じるのは、それらに対する人間が持つリテラシー格差の大きさ。

興味が無いわけではないけれど、苦手意識が高く触ることすらしない人、なんとかキャッチアップしようと実際にAI的なもの(たとえばChatGPT)に触れてみたけど有用性を感じられずに拒否感を持ったままの人、そもそも人類とは、そういう(変化を恐れる)存在なわけで、革命的技術を前にして、何度も試行錯誤して、あれこれ使い続けるタイプの人は、世の中のマイノリティであるよなあ、ということ

だからこそ、本書が示しているような、共通言語にしやすそうなフレームワークを創って、リテラシーが低い人にでも理解しやすい、使いやすいように、敷居を低くしていくというのは、とても大事なことかもしれない、と最近思うようになった。

””戦い方は大量生産から「AIファクトリー」に  より重要なのは、AIのぐるぐるモデルは、グーグルのようなビッグテックやAI企業だけが活用できるものではないということだ。言い方を変えれば、成長し続けたいならAIのぐるぐるモデルを活用する企業になるしかない。~AIファクトリーの好循環を実現するには、意思決定のレベルにまでAIが入ることが重要だ。逆に言うと、AIファクトリーの好循環のループには人間を入れてはならない。  人間の意思決定に時間を取られることなく、好循環の無限ループが高速でぐるぐると回転し続ける。これに成功した企業は、グーグルやアマゾンのように従来型の企業を圧倒する。AIファクトリーの好循環を実現している企業を「AI駆動型企業」と呼ぼう。AI駆動型企業はAIによるDXを実現した存在に~””

「AIのぐるぐるモデル」は、過去に拝読していた「ダブルハーベスト」にて把握していたモデルとほぼ同義と理解している。

””AIに意思決定を任せる場合、重要なのは現場のオペレーションをできる限り自動化することだ。自動化されたシステムは正確な数字、デジタルデータをはじき出す。自動化が進むほど、データのサイロが破壊され全社からデータが集まり始めるため、AIの判断はより迅速で的を射たものになる。この過程で、各種の決定に伴う担当者の勘や属人的な判断のかたよりがなくせる。  正確な計画は業績にプラスの影響を与える。製造業であれば、各部門からの正確な数字を集計しAIが判断を下したサプライチェーン計画などが典型だろう。これだけではない。自動化は単独で、人件費削減などを通じて業績にプラスの影響を与える。  自動化とAIによる意思決定の効果は足し算ではない。掛け算だ。掛け算がAI駆動型企業の高い成長、そして課題解決を可能にする。  掛け算の効果を生み出すには、あらゆる業務をデジタル化し、データを管理し、AIの判断で業務フローを自由自在に組み換えることができる柔軟な組織形態も前提と~””

これはもう、言い訳めいた話にもなってしまうのですが、なかなかどうして、複数部門、複数事業部が存在していると、手を付けにくいというか。はたまた、十分な母集団データがない中(集めにくそうな環境の中)で、今このタイミングで、オペレーションの自動化に、どこまで投資できるのか、というようなことを考えながら、なかなか、大鉈を振るい切れていない現実を抱えていたわけです。

しかしながら、この文章を書き始めている今は、運や縁も重なって、素晴らしい人財が、仲間がジョインしてくれたおかげも手伝って、社内の重要な領域から、オペレーション自動化(仕組み化)の準備が始まりつつあります。

””Web3の時代には現在よりも圧倒的に多くの情報がデジタル化される。DAOやNFT、SBTはもちろん、メタバースでのやり取りはすべてがデジタルデータである。Web3の領域が広がるほどAIの精度を上げるデータが増える。NFTやSBTが一般化すれば、AIの分析対象になる構造化データだけでなく画像などの非構造化データも入手しやすくなる。””

これは冒頭で記載したように、生成AIがリアルとディープの境目を今まで以上に不透明にさせてしまう未来が、ほぼ確定しているわけで、今まで以上に、圧倒的にブロックチェーン技術の必要性が増し、それぞれ専門性を持った主体者(共同体)たちが、多様なデータを保有し、活かしているような、まさにWeb3な世界が眼前に迫っていると思って間違いないと確信しています。

””アマゾンはAI駆動型企業を代表する1社だが、創業者であるジェフ・ベゾス氏が2002年ころ、社内のエンジニアに通達した「Bezos API Mandate」と言われる文章がある。この中でベゾス氏は、すべてのデータをインターフェース経由で公開しなければならない、例外は認めない、インターフェースは世界のエンジニアに公開する、守らない人間は誰でも解雇する、といったことを通知している。最後が「ではよい1日を」で終わるのは彼なりのジョークかもしれないが、この姿勢がアマゾンのAI利用を支えているのは想像に難く~””

いやはやコミットメントのレベルが違いますね。決断というものにレベルをつけるならば、まさに100点満点の意思決定、意志決定とは、こういうものだなあという学びになりますた。

””BASICsフレームワークについて理解していただいた読者の方はすでに気づいているだろう。Web3と非常に相性がいいのだ。  まずB(Behavioral change)については、ブロックチェーンのトークンなどによる報酬で行動変容を起こすことができる。当事者として動くことで、社会課題の解決も加速する。  効果の可視化であるBASICsの2番目のA(Accountability)は、ブロックチェーン上で情報がオープンに監視可能な点がまさに当てはまる。情報も分散管理されている。  そして、規模の追求と継続的改良のS(Scale & Continuous improvement)については、インターネットを利用して世界中から貢献者を集めることができる点が該当する。  持続できる経済性も重要だ。BASICsの4番目のI(Income with profit)はWeb3においては、Bと同様にトークンなどによる報酬を得て、組織やプロジェクトを低コストで運用できるという側面がある。  最後のC(Cultivate data value)はデータ価値の創出である。Web3ではインターネットを介して、さまざまな個人や団体が保有するデータの権利を守りながら組み合わせ、新たな価値を生み出すことが可能となっている。””

””オナーの成功の最大の理由は、全米の独立系の在宅介護事業者が持つ介護士と利用家族に関するデータを一手に集めることを目指し、実際に持っていることだ。AIのぐるぐるモデルが働くので、オナーが持つ人材マッチングの精度を競合他社が超えるのは、時間がたてばたつほど困難になる。  データを入手するためにオナーは、在宅介護事業者が不得意とするデジタル領域を提供するという手段を取った。ここがオナーのAI戦略の優れたところだ。  オナーは介護サービスの会社であるが、多くのエンジニアを擁する。データサイエンティスト、機械学習エンジニア、アプリケーションエンジニア、UXエンジニアなどが在籍し、募集もしている。エンジニアと介護制度のプロフェッショナル、市場やパートナー開発の担当者が連携してサービスを構築し、オペレーションを行っている。  多くの在宅介護事業者は、自分達の強みが丁寧なケアにあると考えていて、介護者の予定管理などの事務作業はできれば誰かに任せたいところである。この困りごとをオナーが解決してくれるというので、在宅介護事業者は自ら同社のプラットフォームを利用しようとする。  在宅介護事業者が気づいていないのは、 21 世紀のビジネスモデルが画一的な大量生産型から、AIのぐるぐるモデルによるパーソナライズに変わったということだ。  多くの在宅介護事業者はAIプラットフォームへの投資など考えもせず、雑務をオナーに任せただけだと思っているかもしれない。しかし実は任せたはずの雑務の処理が介護業界で新たなビジネスを生み出すエンジンになって~””

””オナーは、今後も成長を続け、消費者向けインターネットにおけるグーグルのように、在宅介護事業者に高い影響力を持つ可能性がある。2021年には個人向け在宅ケア大手の米ホームインステッドを買収した。同社では米国を含む 14 カ国にある1200拠点で、9万人の介護士がサービス提供に従事していた。  「自分の持っているデータでAIをどう活用するのか」ではなく、「AIを活用するためにどうやってデータを集めるのか」。  AIをスケールアップさせるためには、会社の枠を越え、業界の枠を越える必要がある。まさにBASICsフレームワークのS(規模の拡大の可能性)である。スモールビギニングの戦略ではなく、最初から大きな絵を描くことが~””

””データが日々蓄積されていくので、各スタッフのさらなる効率化、介護施設や運営法人全体の最適化などにも道が開かれる。スケールし、継続的に改善できるようになる(同S)。  このサイクルが回ることで、1人のスタッフでより多くの入居者を担当できることになり、施設、ひいてはスタッフの適切な収入に結びつく(同I)。ふるまいを変えるBについても、入力時間がなくなることで、その分スタッフと利用者のコミュニケーションが増加し、質が向上することも見込まれる。つまりBASICsフレームワークをフルに活用していると~””

もう未来の話ではなく、AIのぐるぐるモデルを駆使して成長している会社が現存している。

そして、、、

””AIを成長させないと競争に負ける  AIネゴシエーションサービスを導入すれば状況は一変する。判断の速さがAIの武器だ。社会情勢などに合わせて取引条件を最新に更新できる。しかも一方的に納入価格を値下げしようとするのではなく、取引先が重視する条件を考慮しながら交渉できる。  場合によっては価格を上げたうえで、他の条件で譲歩してバランスをとる。中小の取引先から、人間よりも自社のことを理解してくれていると評価する声も出ているという。  AIネゴシエーションサービスによって、小規模な企業を含め取引先が望む条件がデータとして蓄積される。データが蓄積されればよりウォルマートにとっても取引先にとっても納得できる条件が設定できる。こうなればウォルマートとの取引拡大を望む企業が増える。AIネゴシエーションサービスは、まさにサプライチェーンのぐるぐるモデルと言える。これらはBASICsフレームワークのSのスケールと継続的改善の両方を実現しているもの~””

””こういった組織体制で、深化だけでなく探索に取り組むのは簡単ではない。HR軸で管理型組織を自律型に変革する際のカギとなるのが、ストラクチャー、スタイル、スタッフの3つのSだ。  組織構造を意味するストラクチャーから説明する。見直す対象は組織のガバナンス、アカウンタビリティー、意思決定の3点になる。具体的には組織を、クロスファンクショナルなチーム型の基本構造に変え、同時に権限移譲を進める。現場での指示待ちが減り、各チームが自発的に意思決定することで判断が迅速化する。DXに強い企業は得てして外部企業とのコラボレーションがうまい。外部の企業は「業者」ではなくともに協力する「パートナー」と考える。AIさらにはWeb3など最新の技術を取り入れて変革を進めるなら、技術に強いスタートアップとの関係が重要になる。業者扱いでスタートアップとの良好な関係は築け~””

AIを活かせないと、AIを成長させないと、AIと共創できないと、競争に勝てなくなる世界線に、僕たちは今、晒されようとしている、という厳しい現実に直視させてもらえた本書に感謝であります。さあ、1歩ずつ、言い訳をなくして、仮説検証を繰り返そう。

<目次>

はじめに

第1部 Web3とAI 第1章 急速に高まるWeb3への関心、本質は価値観の変化 第2章 Web3時代に必須なAIのぐるぐるモデルとデータの価値化 第3章 Web3時代のAI・DX戦略 第4章 重なり合う公共とビジネスの課題解決 第5章 社会課題解決フレームワーク「BASICs」

第2部 AIが10の社会課題を解決 第6章 世界が直面する10の社会課題とは 第7章 心身とも健康を保ち続ける  1)超高齢化社会に対応する  2)高度医療、パンデミックに立ち向かう  3)ウェルビーイングに過ごす  4)ワークスタイルの変化に対応する 第8章 環境変化に対応し持続する  5)気候変動に対応する  6)脱炭素、省資源に挑む  7)食料危機を回避する 第9章 地域やビジネスを強くする  8)サプライチェーンを守り、ビジネスを継続させる  9)地方や中小企業を維持、発展させる  10)持続可能な生産・製造を実現する

第3部 Web3時代のAI戦略を成功に導く組織・スキル・マインドセット 第10章 「体」自律的な組織でAIファクトリーに変貌 第11章 「技」デジタルとイノベーティブの2つのスキルを獲得する 第12章 「心」前向きなマインドセットが成長につながる

おわりに