THE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ


多種多様な運と縁、関係者の方々の支援と応援、パートナー1人ひとりの創意工夫のおかげで、サンクスラボグループは成長を続けている。そして、今現在の僕自身の思考、時間、エネルギーの大半は、より良い会社にすることにある。

多くの経営者は、きっと何度も考えてきただろうし、今も考えているのではないかと思うのですが、「良い会社」とは何か?と。

結論は、その人間の生き様であり、哲学であり、他人が規定することではないのだとは思う。もちろん、その時代、文化、環境によって、一般論で語られる定義は存在するだろうけれど。

という前置きをしながら、自分自身が、心の底から成し遂げたいと、濃ゆく欲望している「良い会社」のイメージの1つが、本書で紹介されているような「THE HEART OF BUSINESS」のコンセプトを体現し続けている企業なんじゃないかと、ビビっと来たのでした。

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Generative AIによる以下一部抜粋を受けた書評

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仕事と企業のパーパスについて

Introduction

仕事とは何だろうか?そして企業の存在意義とは何か?これらは私たちが日々直面する問題であり、答えが見つけられないことも多い。しかし、ベスト・バイの元CEOであるハバード・アラン氏は、自身の経験から、この問題に対する解決策を提供している。この記事では、アラン氏の考え方に基づき、仕事と企業のパーパスについて考えていく。

仕事と生きる意味の探求

仕事とは「人間らしく生きるのに欠かせないもの」「自分の生きる意味を探すための鍵」「人生に充実感を見いだす手段」だと考えることが大切です。人生とは快楽や権力を追い求める旅ではなく、意味の探求だということも重要です。人間が意味を見つけられる場所は仕事、愛、勇気のなかにあるとされています。仕事を通して意味のあることを為すという行為には、他者への思いやりや逆境を乗り越えることなども含まれています。

自分自身のパーパスと仕事観を見つけよう

仕事とは、自分自身の生きる意味を探すための鍵であり、人生に充実感を見いだす手段です。自分自身のパーパスを見つけ、仕事を通じて実現することで、他者への思いやりや逆境を乗り越えることなども含まれます。ピュー研究所の調査によれば、若者たちは大人になって極めて重要なこととして、楽しめる仕事やキャリアを持つことを挙げています。このような仕事観を持つことで、自分自身と組織のパーパスを実現し、充実した人生を送ることができます。

人とつながり

アラン氏は、従業員とのつながりが重要であると考えている。従業員に対して関心を持ち、彼らの成長をサポートすることで、従業員たちは自分自身と組織のパーパスを実現する手助けをするという信頼関係が生まれる。このような信頼関係が組織に流れる情熱を高め、従業員の自己実現と組織のパーパスが実現することができる。リーダーは自身のパーパスを理解するだけでなく、従業員たちが何に突き動かされているかを知ることが重要である。

不完全さとつながり

アラン氏は、弱さを受け入れ、失敗から学び、自分自身と比べた最高の自分を目指すことが、リーダーとしての力を発揮するための鍵であると考えている。弱さを見せることなく真のつながりはありえないことを教えてくれる。また、問題の存在を認めることが弱さとみなされる企業文化は、低パフォーマンスのひとつの要因となる。アラン氏は、赤字を垂れ流している企業にとっては、利益への「強迫観念」に屈することが必要であるとする一方で、利益の追求が目的である企業文化は、従業員たちの心を動かすことはできないと考えている。

人、ビジネス、財務

アラン氏によれば、企業には人、ビジネス、財務という3つの要素があり、これらは相互につながっている。従業員が充実していると、顧客が忠実になり、企業は金を稼ぐことができる。従業員とのつながりを大切にし、弱さを受け入れることで、企業は真のパーパスを見つけ、未来を形作っていくことができる。

Conclusion

ハバード・アラン氏の考え方は、リーダーシップのあり方や企業のパーパスについて考える上で、非常に参考になるものである。従業員とのつながりや不完全さを受け入れることが、組織の成長と従業員たちの自己実現につながることを示している。また、企業には人、ビジネス、財務という相互につながった要素があり、真のパーパスを見つけることが企業の未来を形作るための重要な鍵であることが分かった。私たちも、アラン氏の考え方を参考に、自身のリーダーシップや企業のパーパスについて考えていくことが大切である。

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一部抜粋

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””だが続けていると、この人は自分の話を聞いてくれる、同じ目線で同じ景色を見てくれている、聞くだけでなく実践してくれる、という信頼が生まれる。やがて従業員たちの情熱のマグマが解き放たれ、その人自身のパーパスと組織のパーパスが花開く感動的なシーンを何度も見てき””

””会社のパーパス(存在意義) は「お金を稼ぐこと」ではないことも。それはミルトン・フリードマンが私たちに説いてきたこととは正反対の考えだ。少数の頭のいい幹部が戦略と実行計画を立て、それを他の従業員たちに指示し、インセンティブを使って意欲をかきたてる──そんな古いトップダウン型の経営手法は、ほとんど機能しないことも学んだ。そして、賢くて力強いスーパーヒーローとしてのリーダー像は時代遅れであること””

””今でも思い出すのは、病院のベッドで横になりながら、いつか自分も人をマネジメントする立場になると考えていたことだ。そしてそのときが来たら、今回のような仕事が人をどんな気分にするか忘れないでいようと誓った。 虚しさと疎外感。会社や業績への無関心。やりがいのない、心が 麻痺 するような作業。仕事から離れられるからといってゴミ捨てに余分な時間をかけたり、フォークリフトに轢かれて喜んだりするほどに低下した労働意欲。だから、自分がマネジメントをすることになったら、現場で働く人たちが同じような思いをしないよう全力を尽くそうと誓っ””

””誰もが、私と同じような仕事観を持つことは可能なはずだ。仕事とは「人間らしく生きるのに欠かせないもの」「自分の生きる意味を探すための鍵」「人生に充実感を見いだす手段」だ。詩人のカリール・ジブランは仕事を 謳った詩のなかで、仕事とは愛を目に見える形にしたものだと雄弁に語った( 1)。私もそう信じて””

””人生とは快楽や権力を追い求める旅ではない、と彼は結論づけている。人生とは意味の探求だ。それが究極的には充実感や幸福への道になる。彼によれば、人間が意味を見つけられる場所は3つある。仕事、愛、勇気のなかだ。実際には、それらはひとつにまとまっていることも多い。仕事を通して意味のあることを為すという行為には、他者への思いやりや、逆境を乗り越えることなども含まれて””

””生きる意味の探求という仕事観は世代を超えたものでもある。ピュー研究所の調査によると、「大人になって極めて/とても重要なことは何か」という問いに対し、 10 代の若者の 95 パーセントが「楽しめる仕事やキャリアを持つこと」と回答した。これは、「困っている人を助けること」「大金を稼ぐこと」「子どもを持つこと」などを含め、他のどんな回答よりも上位だった( 9)。ギャラップ社の調査でも、ミレニアル世代は仕事に目的を見いだすことを強く重視していることが分かって””

””だからこそベスト・バイの従業員たちは、この問いについて考えることが推奨されている。「何があなたを突き動かしているか」という問いは、クリスマスから年末にかけてのホリデーシーズンに向けて2000人ほどのマネジャーが集まる「ベスト・バイ・ホリデー・リーダーシップ・ミーティング」の中心的な要素だ。そこで聞く回答は、どれもシンプルで人間味があり、いつも感銘を受けている。マネジャーたちは、友人、家族、仕事仲間に言及することが””

””ベスト・バイの全従業員に「自分を突き動かすものは何か」を考えるよう後押しすることは、些細で漠然としたステップに見えるかもしれない。しかしこの問いかけは、仕事への向き合い方を変えるにあたって、本当に中心的な役割を果たしてきた。  リーダーにとって、自分のパーパスを理解するだけではなく、周りの人が何に突き動かされているかを知ることも同じくらい重要だ。また、その原動力と会社のパーパスがどう結びつくかを理解することも重要だが、この点については別章で””

””その日は、「オール・イン(全力を注ぐ)」という概念について学んでいた。全力を注ぐには、メンバーたちがどんな人間であり、どんな人間になりたいかを理解する必要がある。だから、チームメンバーを突き動かしているものや、それが各自の人生や歴史とどうつながっているかを知りたいと思った。メンバーたちはどんな道をたどってきたのだろう? どうしてベスト・バイでの仕事に心を躍らせているのだろう? 個人的なパーパスと仕事でやっていることは、どのようにつながっているのだろう? こうした問いに答えられないようでは、チームを率いることはできないと感じたの””

””彼女は不完全さがもたらすものの一つとして、勇気や思いやりと並ベて「つながり」を挙げている( 3)。そして彼女は、つながりを阻んでいるのは「恥」、つまり自分のことを知った人間からつながりを持つに値しないと思われるのではないかという「不安」であることを発見した。反対に、愛や、つながりや、帰属意識を強く感じている人は、不完全である勇気を持ち、自分の弱さを受け入れていた( 4)。こうしたことはどれも、弱さを見せること抜きに真のつながりはありえないこと、そして弱さは不完全さと切り離せないことを教えてくれ””

””問題の存在を認めることが弱さとみなされる企業文化も、低パフォーマンスのひとつの要因だった。アランは毎週木曜日に業務の進捗を点検するビジネスプラン・レビュー会議で、重要分野のパフォーマンス報告を「信号灯」式の色分けでおこなった。毎週、幹部メンバー全員が担当プロジェクトの進捗を色分けして報告するのだ。すべてが順調なら「緑」、軌道からは外れているものの元に戻す計画がある場合は「黄色」、パフォーマンスが軌道から外れていて元に戻せる計画がない場合は「赤」といった具合だ。  アランによれば、最初の数週間はすべての報告が緑だったという。会社は莫大な損失に直面しているのに、報告されたチャートのうえではすべてが計画通り順調ということになっている。 「いいですか、我々は何十億ドルもの損失を出しているんです」とアランは言った。 「それなのに、うまくいってないことが ひとつもない と言うのです””

””誰であっても、自分の弱さを受け入れ、失敗から学び、 周りと比べた ベストではなく 自分のなかでの ベストを目指すことで、最良の力を発揮して仕事をするリーダーになることができる。なぜなら、そういう不完全さがあってこそ人は本当の意味で他者と深くつながっていけるから””

””ベスト・バイの従業員たちに「何があなたを突き動かしているか」と尋ねても、「株主価値」と答える人は誰もいない。株主価値は、人が朝ベッドから飛び起きたくなるような動機ではないのだ。もっと仕事に力を注いでほしければ、従業員の心を占めているものが株価ではないことを認識する必要がある。繰り返すが、仕事は退屈な作業や苦しみである必要はない。仕事とは、生きる意味の探求である。利益の最大化はこの探求の答えにはならないため、第1部で言及したような仕事へのエンゲージメントの低下を解決することはできない。利益は、ベスト・バイのような企業を救うために従業員が全力を尽くす動機にはならないの””

””とりわけ利益を重視するのが望ましい状況もある。たとえば赤字を垂れ流して死の危機が迫っている場合、まず優先すべきは止血だ。自分の事業が稼いでいる手段や理由を把握しておくのも健全なことだろう。  しかし、より健全なのは利益への「強迫観念」に屈しないことだ。真に意識すべきは、「利益は不可欠ではあるものの、それは結果として得られるものであり、それ自体が目的ではない」という点””

””利益の追求が目的でないなら、何が企業のパーパスなのかと疑問に思うことだろう。この問いに適切な答えを出せれば、資本主義を作り直し、ビジネスを内側から変革し、私たち全員に関わる未来を形作っていくことができる。それは、テーブルを囲んで語られた私の子どもたちの──そしておそらく、あなたの子どもを含めた何百万人もの──願いや懸念に答えることにもなるはずだ。””

””彼によると、企業には決定的に重要な3つの要素があるという。  人、ビジネス、財務だ。  これらの要素は 相互につながっている。1つめの要素「人」が優れ、従業員の育成や充実度が高水準だと、2つめの要素「ビジネス」において、顧客が忠実に繰り返し製品やサービスを購入してくれるという好結果につながる。それにより、3つめの「財務」、つまり金を稼ぐことにおいても優れた企業でいられる。因果関係は次のような方向でつながっていく。 人→ビジネス→財務の順番””

””利益は、最初の2つの要素の結果として生まれるというわけだ。この3つのあいだにトレードオフの関係はなく、優れた企業は3つが同時に高い水準にあるという。  だが、この3つと企業の「パーパス」を混同してはならない、と彼は言う。彼の見解によれば、企業のパーパスとは、従業員を育てて充実感を持たせ、その周囲の人々にも目を向けていくものなのだ。  デスカーペントリーズには周りを巻き込んでいくエネルギーがあり、彼のアイデアは私の心の深い部分に触れた。私は経営コンサルタントとして、「どんな製品やサービスを提供するか」「競争力を持つにはどこにどう位置取るべきか」といった企業の戦略にどれほどの労力が注がれているかは理解していた。しかし、情熱をかき立てる「パーパス」を明確な言葉にすることについては、ほとんど考えもしていなかった。だが、彼の考え方は 腑 に落ちた。このときついに、私は心をかき立てるものに出会ったの””

””企業の存在意義も同じように、「世界が必要としているのは何か」「チームとして情熱を傾けているものは何か」「自分たちの会社が得意なことは何か」「 そのうえで、自分たちが稼げるものは何か」の4つを考えることで見いだせる。ベスト・バイでは新規事業を検討するにあたり、この考え方をヒントに作った次の4つの問いを活用している。 その事業は会社のパーパスに沿っているか? 顧客にとって良いものか? 実現可能か? そのうえで、利益をもたらす””

””ノーブル・パーパスは「パーパスフルな人間らしい組織」という枠組みの頂点に位置する。そして中央に位置するのは従業員だ。なぜならビジネスの 秘訣 は、最高のメンバーが顧客にとって最高の仕事をすることにより、最高の結果につなげることだからである。経済理論で説かれてきたように従業員や労働をただの投入物として考えるなんてことはできないし、そのように考えるべきでもない。誰も投入物などにはなりたくない。「最高の仕事」は、自分が活躍できる職場環境において、「人的資本」ではなくひとりの人間として扱われていると感じるところから始まるのだ。  私が提唱する概念図では、従業員こそハート・オブ・ビジネスと見なし、中心に据えている。従業員は社内の仲間のみならず会社のすべてのステークホルダー──顧客、取引先、地域のコミュニティ、株主──と思いやりに満ちた本物の関係を築き育んでいくことで、会社のパーパスに貢献するだけでなく、各ステークホルダーに最高の結果を届ける存在で””

””「顧客にとって最高の仕事」は、こうした従業員が顧客を歩く財布と見るのではなく、人間として心を通わせるときに生まれる。また、CEOから現場のスタッフまで、従業員たちが顧客のニーズやそれを満たすための最適なサポートを心から理解し、配慮することで生じる。このような形で顧客に喜んでもらうことで、顧客と強い心のつながりを築いた愛されるブランドが作られ、愛着や信頼を呼ぶ。  顧客にとって最高の仕事をし、最高の結果を生むために、従業員は「パートナーとしての取引先」とつながり、協力関係を築いていく必要もある。利益率を上げるために取引先を圧迫するのではなく、双方に利益がある形でつながって協力関係を築き、 そのうえで 顧客に奉仕するのだ。  それから、ビジネスが成功するには活発な「地域…~””

””何年も前にマッキンゼーに勤めていたころ、招待した夕食の席でフランス人のCEOジャン=マリー・デスカーペントリーズから、二者択一の問いの 98 パーセントは「どちらも(and)」と答えたほうがいいと教わった。  この言葉も、当時私が慣れ親しんでいた考え方から抜け出すきっかけとなった。二者択一の世界観からの脱却だ。注力すべきはコストか、 それとも 収益か。コストか、 それとも 品質か。大切にするべきは顧客か、 それとも 従業員か、 それとも 株主か。取引先とは提携するべきか、 それとも 競合するべきか。環境やコミュニティに配慮するべきか、 それとも 利益を重視するべきか。大事にすべきは長期視点か、 それとも 短期視点か。  今の私は、デスカーペントリーズと同じように、こうした二者択一の問いは人為的なトレードオフだと考えている。ベスト・バイはどのステークホルダーを重視するか取捨選択するのではなく、すべてのステークホルダーを大切にしながら協働することで業績を最大化している。私たちは、従業員 も、顧客 も、株主 も、地域コミュニティ も 重視しているの””

””「テクノロジーを通して暮らしを豊かにするには、まず人から──従業員たちから始めるべきです」  私たちの最高の姿はどのようなものだろう? ベスト・バイが人間だとしたら、どのように行動するだろう? この問いの答えを探るため、会社のことをよく知るリーダーたちと何度かワークショップをおこなった。それを経て、ひとつの考えにたどり着いた。ベスト・バイとは、「背中を押す友人」のような存在なのだ。顧客が自分のやりたいことを理解したり、テクノロジーの活用方法を想像できるよう販売員たちがサポートしていく。  そんな考えをもとに、「背中を押す友人」──ベスト・バイの全従業員になってほしい人物像──ならどのような行動をとるかを定義していった。そうして決まった行動指針のひとつが「人間らしく」だっ””

””すべての人を顧客のように、そして切実なニーズを持った人間として扱う。なんという革命だろう!  ビジネスはゼロサムゲームだという世界観を捨てれば、「どちらか(either/or)」ではなく「どちらも(and)」という視点が持つ力は無限大になる。ビジネスは善を為すことと成功すること、どちらも可能なの””

””パーパスと人を重視したモデルへの移行には、主だった経営慣行の変更が必要になる。ベスト・バイでは、ジャン=マリー・デスカーペントリーズの言う「人」→「ビジネス」→「財務」のアプローチを反映した慣行作りをおこなった。  それはつまり、時間の使い方と周りとの接し方をリセットすることを意味する。たとえば、ベスト・バイのCEOだったころ、私は新しい慣行として毎月のビジネスレビューのやり方を変えた。まず最初に従業員についての話し合いから始め、次に顧客、それから財務の話をするようにしたのだ。一般的ではない形だが、優先順位がはっきりと感じられる方法である。取締役会に最新情報を伝える際にも、同じ順序でおこなうようにした。会社の存続がかかっている再建の最中でさえも、財務ではなく人やビジネスの立て直しを考えることに多くの時間を割い””

””ベスト・バイは、評価指標を変えることによっても経営慣行を変革した。重要業績評価指標(KPI) として設定されるのは、利益や順位だけとは限らない。従業員アンケート、顧客体験を評価するネット・プロモーター・スコア、そしてカーボンフットプリントやダイバーシティの達成度など、あらゆるステークホルダーから見た評価指標も、長い時間をかけて大きく増やしてきた。環境への影響などを考慮した会計基準も開発されている。さらには、会社の慣行にどれほどパーパスが組み込まれているかを測定するツールも現れ始めている( 6)。  こうした指標は完璧なものではない。しかし、完璧な指標など存在しないのだから、「評価指標が不完全で行動できない」という言い訳は通用しない。そのような言い訳をする人を見ると、夜道で鍵をなくした男の話を思い出す。彼は街灯が照らしている範囲を一生懸命探している。「本当にそこでなくしたの?」と友人に聞かれると、彼はこう答える。 「違うよ。でもここしか明かりがなく””

””私たちは他者とのつながり抜きには存在できない。実際に、ブルー・ゾーン(日本の沖縄やイタリアのサルデーニャなど世界の5地域) の人たちがより長く、より良く生きている要因のひとつは「人とのつながり」だと特定している研究もある( 1)。この文脈でいう人とのつながりは、帰属意識や、家族(両親・パートナー・子どもなど) を第一にすること、そして協力的な社会サークルなどを指す。たとえば沖縄の人たちは「 模 合」という生涯にわたる親密な友人グループを形成して””

””経営は「集団」を率いるものだと考えるべきではない。  調査のために集めた従業員グループのなかで、「一人の個人」として扱われているときに生まれる違いについて、若い販売員が自分の体験を語ってくれた。彼は 18 歳のときに採用されたが、内気で自信がなかったという。ベスト・バイでの大切な経験について尋ねると、彼はすぐに地区を統括するマネジャーが自分の店舗を訪れたときのことを挙げた。面接のときに会っただけの地区マネジャーは彼に気づき、名前を覚えていたのだ。その1つの小さなつながりが忘れられない印象を残していた。この若い販売員はブルー・シャツであるだけではなかった。周りから知られ、大切にされる一個人だったの””

””あなたへの質問 10  職場に友人はいるだろうか。  あなたは職場でかけがえのない個人として扱われていると感じるだろうか。周りがそう感じられるように、どんなことをしているだろうか。  あなたはチームを信頼できると感じるだろうか。信頼できる/できないのはなぜだろうか。  職場でどれくらい安心して自分の弱さを見せられるだろうか。周りの人が弱さを見せるとき、あなたはどんな気持ちになるだろう。それはなぜだろうか。  異なるチームメンバーに対して、あなたは相手のコミュニケーションスタイルや好みに応じた接し方を選んでいるだろうか。  あなたはどのようにして職場のダイバーシティ&インクルージョンを推進しているだろうか。ほかに何ができるだろう””

””個人のパーパスと会社のパーパスをつなげ、人と人との真のつながりを育み、自律性を後押しし、マスタリーを促す──これらはすべて、誰もが自分の全力を捧げたくなる環境作りに寄与するものだ。そうした環境こそが、適切な戦略のもとで並外れた結果を””

””①自分と周囲の人々のパーパスを理解し、それらと企業のパーパスの結びつきを明確にする  かつて私は、リーダー採用の候補者に対して、それまで培ってきた経験やスキル、キャリアにおける目標、この組織に自分が適した人材だと思うかといった質問をしてきた。一般的な内容だろう。こうした内容が最も重要な検討材料だと感じていたのだ。  しかし現在は、候補者の夢やパーパスを理解することに多くの時間を費やしている。「あなたにエネルギーを与えるものは何でしょう?」「何があなたを突き動かしていますか?」と尋ねるの””

””それはつまり、周りのメンバーたちが可能性や潜在力に気づく手助けをするということだ。エネルギー、士気、希望を生み出す──そんな考えは 30 年前の私だったら否定していただろうが、パーパスフル・リーダーには不可欠なことだ。ジョン・クィンシー・アダムズが言ったとされる言葉を借りて、次のように言い換えられるだろう。 「あなたの行動によって、周りがもっと夢を見て、もっと学び、もっと行動し、もっと良い自分になりたいとかり立てられるなら、あなたはリーダーだ」  状況を選ぶことはできないが、自分のマインドセットを調節することはできる。そのマインドセット次第で、あなたが周囲に希望や士気やエネルギーをもたらすか、全員の気分を沈ませるかが決まる。だからこそ、正しい選択をしよ””

””人生で最も長い旅は頭と心のあいだの 18 インチだと教えられてきた。それは本当に長く、苦しい道のりだ。私の世代のリーダーの多くと同じように、私も長らくビジネスにおいて感情は伝えるべきでないと信じてき””

””①世界が必要としていること  ②自分の会社にできること  ③従業員たちが突き動かされるもの、情熱を注げるもの、追求しているもの  ④稼ぐことができるもの  チームと力を合わせ、そのノーブル・パーパスを具体的な戦略に落とし込み、会社を意義ある形で前進させよう。これは広報に乗り出す前におこなおう。マーケティングの専門家であるロン・タイトが言うように「考え、実行し、発言する」の順であるべきだ。そして社内に伝えるときがきたら、すべての従業員がノーブル・パーパスの具体的な意味や自分がどう関わっていけるのかを理解できるように、実用的で分かりやすい言葉で表現しよ””

””取締役会へ  あなたはどれくらい次の原則に沿った形で責任を果たしているか自問してみよう。 会社がリーダーを選び、評価し、報酬を与え、育成し、昇進させる方法は、パーパスフルで人間らしいリーダーシップの原則をどの程度反映しているだろう? 会社の戦略は、すべてのステークホルダーとの関係においてどれくらい有意義な形でノーブル・パーパスとつながっているだろう? 会社の目標設定やパフォーマンス管理の方法は、どの程度パーパスフルで人間らしいリーダーシップの原則を反映しているだろう? 取締役会は企業文化の形成をどれくらいサポートしているだろう? 誰もが自分の居場所だと感じられ、会社の顧客や地域コミュニティの多様性を反映した環境を作る責任を、どれくらい経営陣に課しているだろう? 会社の規則、リスクマネジメント、コンプライアンスのプログラムは、どの程度パーパスやパーパスフルで人間らしいリーダーシップの原則に沿っているだろ””

””従業員たちは「人材」ではなく、共通のパーパスを追って協働する個人として扱われなければならない。従業員はそれぞれのモチベーションや目的意識を持った個人であり、お金だけに動かされる人的資本ではない。今こそ、集団的な労働力を動かす方法ではなく、一人ひとりが大切にしているものとの結びつきを生むことによって意欲を高める方法を追求するときだ。ヒューマン・マジックを解き放つとは、 一人ひとりが 生き生きと働ける環境作りを意味する。自分にとって大切なことや自分が信じるものに取り組んでいるときにこそ、人は障害を乗り越え、エネルギーや創造性や感情を仕事に注ぎ込むの””