直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN


2023年は、理性や論理ではない、感性や直感みたいなものに真剣に向き合う機会に恵まれました。本書は、そんなモードの時だからこそ、より一層に僕には刺さりました。

””冒頭のエピソードに戻るなら、例の友人に対して、僕がしたのは「2つの助言」だ。 ① いますぐ1冊のノートを買うこと(A6・無地のモレスキンノートがおすすめ) ② いますぐカレンダーに、毎朝 15 分、ノートを書くためだけの予定を入れること それから1カ月後、彼女の表情は目に見えて明るくなっていた。もともとスマートだったその友人の頭はいっそうクリアになり、職場では以前にも増して活躍しているという。 「手書き」「1カ月続ける」「人に見せない」などの注意事項は伝えたものの、僕がアドバイスしたのは、「余白をどうデザインするか」だけだ。肝心の「何を書くか」については、ほとんど何も伝えていない。それでも彼女は「直感と論理をつなぐ思考法」を自ら体得し、しだいに「自分モード」を取り戻していっ~””

20代~30代、何度か行き詰まった時に習慣化していたのですが、最近やれていなかったので、改めて再開して、とても良かったなあ、と感じています。あえて、朝一で、ノートに書きなぐってみる時間を創るようにしました。

””なぜ、日本では地位の低い「妄想」が、世界のエリートと言われる人たちのあいだでは、ここまで高く評価されているのだろうか? 端的に言えば、彼らは「本当に価値あるものは、妄想からしか生まれない」ということを経験的に知っているからである。だからこそ、彼らはむしろ、あえて現実からかけ離れたことを言おうと、つねに意識してさえいるようだった。 この点を理解するうえで欠かせないのが、MITのダニエル・キム教授が提唱した「創造的緊張(Creative Tension)」という概念だ。人がなんらかの創造性を発揮する際には、「妄想と現実とのギャップ」を認識することが欠かせない。個人が自らの関心に基づくビジョンを明確にして、さらに、そのビジョンと現状とのあいだにある距離(ギャップ) を正面から受け入れたときに初めて、そのギャップを埋めようとするモチベーションが個人のなかに生まれる。このような緊張状態が生まれない限り、人はクリエイティブなモードにはならないのである。 この考え方をさらに下支えしているのが、カーネギーメロン大学の行動経済学者ジョージ・ローウェンスタイン教授による理論だ。 彼によれば、人間の好奇心や情報への探究心が生まれるには、「情報ギャップ」を感じることが不可欠だ。つまり、まず探究する心があって、そこから情報の収集に向かうのではなく、「情報が欠けている」という認知があって初めて、「何かを知りたい」という好奇心が発動するというわけだ。 これに沿って考えれば、人は妄想を明確にすることで、初めて「情報ギャップ」を感じることができる。逆に、妄想を潜在的な状態に留めている限り、情報ギャップが生まれないので、前に進もうとする力も生まれないので~””

””思考のアプローチは大きく2つに大別できる。 1つは、すでに顕在化している課題に対して、それを解決していくような思考だ。これはイシュー・ドリブン(Issue-Driven) なアプローチと言えるだろう。 他方、ここで僕たちが問題にしているのは、まだ目には見えない理想状態を自発的に生み出し、そこと現状とのあいだにあるギャップから、思考の駆動力を得ていく方法である。これがビジョン・ドリブン(Vision-Driven) なアプローチである。 注意すべきなのは、イシュー・ドリブンとビジョン・ドリブンの対立軸は、「思考が創造的かどうか」という点にはないということだ。「現前する課題(イシュー)」か「内発的な妄想(ビジョン)」のうち、どちらを思考のスタート地点に置くのかの違いである。 したがって、デザイン思考は、それ自体は創造的なメソッドでありながらも、あくまでも問題解決のための方法論として開発されたものだという意味では、イシュー・ドリブンなアプローチの範疇に~””

””「好きなもの」の写真の素材のなかからピンとくるものを6〜 10 枚ほど集めて、机のうえに並べ直してみよう。それらはすべて、あなた自身のワクワクを呼び起こす何かを持っているはずだ。 次に、それらを貼り合わせてコラージュをつくっていく。A3サイズのスケッチブックを用意し、見開き2ページに貼ってみてもいいし、大きめのサイズのコルクボードにピンで留めてもいいだろう。これが偏愛コラージュだ。 それぞれの写真の下には「好きになった理由」「好きな要素」などを短いキーワードにして書いておく。ビジョン思考は、単なる右脳思考ではなく、イメージモードと言語モードを行き来することに主眼がある。この段階でも、簡単な単語レベルでかまわないので、「言葉」に落とし込む作業をやっておこう。 偏愛コラージュのポイントは、忘れかけていたものも含め、いまのあなたを形づくっている「好き・関心」を一覧化していることにある。 しかも、それをPCのフォルダの奥深くにしまい込むのではなく、空間を占める具体物にするからこそ意味がある。 コラージュをつくったら、自室の目立つところに貼り出してみよう。これは~””

23歳の時に創った人生100のリストは、どんどんアップデートされて、2023年は更にそれらを磨き上げることが出来た1年になりました。

””デザインの世界では「アフォーダンス」という言葉が注目されることがある。これは、アメリカの生態心理学者ジェームズ・ギブソンが提案した概念であり、「環境の側が人間や動物に意味を提示し、行動に影響を与えること」を意味する。たとえば、ガラスのコップは、「冷たい飲み物を注ぐ」という動作を人間に対してアフォード(提示)している。これと同様に、机の上に置かれたまっさらなノートは、「自分モードで書く」という行為を僕たちにアフォードしている、自分の生活環境のなかに「紙のノート」を取り入れることは、「ジャーナリングのためのアフォーダンス」をデザインすることにほかなら~””

””たとえば、「年末」は振り返りをするのに最高のタイミングだ。チームメンバーや友人と一緒に行う毎年の振り返りについては、次の記事の方法が参考になる。何を隠そう、この振り返りフォーマットは、同記事の執筆者であるICJ吉沢康弘氏と毎年の振り返りをするなかで、かつて僕が作成したものである。 ▼ 40 人のビジネスパーソンが絶賛した『1年の振り返り』完全マニュアル/未来を変えるプロジェクト [https://mirai.doda.jp/theme/looking-back-planning/procedure/] (10)Papert, Seymour. (1980). Mindstorms: Children, Computers, and Powerful Ideas, Basic ””

””ここでおすすめしたいのが、ビジョンを磨き上げていく仲間(ビジョンメイト) をつくることだ。仲のいい友人、話の合うビジネスパートナーなど、少人数で本書のエクササイズを一緒にやってみてほしい。そしてフィードバックの際には、 ① それが何に見えるか、 ② どんな可能性を感じたか、 ③ さらに一歩、具体化するためにできるアイデアを、一緒に話し合ってみるといいだろう””

ビジョンを一緒に磨き上げる仲間は、とても有り難いものですね。

””違和感に正直になる—— 分解のステップ ② テーマに関して「常識」を書き出したら、次に来るのは「違和感のある常識」をピックアップするステップだ。ここで重要なのは、やや無理をしてでも、「ここっておかしいんじゃないか?」「いったい、どうしてこうなんだ?」という引っかかりを探ることである。 世界的に有名な起業家やイノベーターというのは、かなりの確率で「ワガママ」な性格を持っている。また、テレビに出ているお笑い芸人は、何気ない日常のなかに「ツッコミどころ」を見出すことで、爆笑を誘うエピソードトークをつくり上げている。 一流のクリエイターたちと肩を並べる必要はないが、少し「意地悪」な人格を自分のなかにつくりあげて、「常識」に隠れている「ツッコミどころ」を探すことを意識してみよう。日常ではスルーしてしまう「あたりまえ」の前で立ち止まり、「本当にそうかな?」「そもそもこれって……」と考えてみる。それが見つかったら、「自分はどういうところに違和感を抱いたのか?」「何がそんなに引っかかっているのか?」「どうすると違和感がなくなりそうか?」についても振り返ってみよう””

””重要なのは、与えられた時間のなかで、どれだけ「具体化→フィードバック→具体化」を繰り返せるかである。このような反復は「イタレーション(Iteration)」と呼ばれている。メディアアーティストや起業家としても活躍する筑波大学准教授の落合陽一氏もよく使う言葉だが、「イタレーション」はつくり手にとっての基本動作のようなものだ。 これに対して、一般的な開発のほうに注目すると、具体化のプロセスは最後に来ているうえ、そもそも、そこにはあまり時間が割かれていない。むしろ、その手前の調査・分析や議論、企画というLモードにリソースが偏っていることが~””

””では、実際に僕たちが「表現(プロトタイピング)」を行う際には、どんなことに気をつければいいのだろうか? どんな「余白(キャンバス)」を用意し、どんな障害を取り除けば、僕たちは表現することへと踏み切れるのだろうか? ここでも気をつけることは3つある。 ① 表現の「動機づけ」をする ② 表現を「シンプル」にする ③ 表現に「共感の仕掛け」をつくる 以降ではそれぞれを1つずつ検討していくことにしよ~””

””表現においては、「他人に影響を与えること」を最終目標にするべきだ。いくら魅力的な「妄想」を表現したところで、聞き手が「ほう、それは面白いね!」で終わったら、まだまだ改善の余地はあるということだ。プロトタイプを見せられた側が、思わず身を乗り出して、「私にも手伝わせてくれませんか?」と言い出すレベルを目指したほうがいい。 ””